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花粉症の季節が近づいてきました。

花粉症の季節が近づいてきました。
 アレルギー疾患や炎症性疾患に対して油(脂肪酸)の摂り方がよく取り沙汰されます。
 ω-3系脂肪酸(αリノレン酸)を多く摂り、ω-6系脂肪酸(リノール酸)を少なくすることはよく知られることで、以前、当コラムにも書いたことがあります。
 ω-6系脂肪酸は炎症やアレルギーを強く引き起こし、ω-3系脂肪酸はそれを抑制します。これは脂肪酸の代謝産物の違いによることが解っています。
 しかし、この脂肪酸の摂り方を変えても(ω-3脂肪酸量とω-6脂肪酸量の摂取比を変えても)アレルギー症状があまり改善できないことがあるという臨床報告を読みました。
 その結論は脂肪酸の摂り方を変えてもトランス脂肪酸を多く摂取していると脂肪酸の代謝を障害してしまい、症状を改善できないというものです。
 人間はω-3系脂肪酸であれω-6系脂肪酸であれ、脂肪酸を自分の体の中で作ることはできません。食べ物から摂取しなくてはならないのです。しかしトランス脂肪酸は体にとって必要な脂肪酸ではありません。
 アメリカやヨーロッパではトランス脂肪酸含有量の規制や表示義務化が実施されていますが、日本においてはトランス脂肪酸平均摂取量が少ないということで、規制や表示の義務はまだありません。確かに動脈硬化を予防するためにはトランス脂肪酸摂取量の多い、少ないが関係あるかもしれませんが、アレルギーは少量のトランス脂肪酸で影響が出てきます。
 私がアトピー性皮膚炎の方の相談を受けていて経験することは、チョコレートや焼き肉を食べた後にアトピー性皮膚炎の症状が悪化することです。
 トランス脂肪酸を含む食品は多くありますが、食べる頻度が高いとその変化に気が付きにくく、焼き肉のように食べる機会が頻繁ではなく、通常、家で食べる量よりも牛肉を多く摂った後の皮膚状態の悪化は目に見えることからよく分かります。
 牛肉の中のトランス脂肪酸の量は少なく、数%に過ぎないのですがアレルギーの悪化がみられるのです。
 このことから考えられることは、アレルギーが毎日食べているトランス脂肪酸で悪化している恐れがということで、アレルギーのある方はこのトランス脂肪酸の摂取量を減らすことで症状の改善が可能であるということです。
 前回のコラムの内容を含め食が体に非常に影響していることがよく分かると思います。
以下にトランス脂肪酸を含むものを上げます。
人工的な操作によって発生したトランス脂肪酸を多く含むもの:
・植物性油脂(不飽和脂肪酸)に人工的に水素を添加して液状の油脂を固化させた硬化油脂(マーガリン、ショートニングなど)
・高温で精製された植物性油脂(大豆油、コーン油、米油、ナタネ油、綿実油、これらを原料として作られた人工油脂など)
・高温の植物性油脂を使って調理した食品(揚げ物、フライ、天ぷらなど)
・植物性油脂を含み高温で調理された食品(スナック菓子、冷凍食品、チョコレート菓子など)
・反すう動物の腸内細菌によって作られ天然に存在するもの:反すう動物(牛、羊など)の肉や乳脂肪


昭和堂薬局 | 2012年1月20日


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