『昭和堂薬局』

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腸内細菌のおはなし

 胎児は、通常無菌の状態で、母親の産道を通過する際に母体に共生している細菌さらされます。その後空気中の菌などの影響を受けながら、母乳によりビフィズス菌や乳酸桿菌の増殖が始まります。抗生物質の長期使用など特殊な要因がなければ、日々の変動があっても各個人で固有の腸内細菌叢が持続されます。人の常在細菌叢で最大のものが腸内細菌叢で、その菌数は成人で1014個、重さは1~2㎏にもなるといわれています。これら常在菌はヒトと密接な共生関係を形成しており、さまざまな生理機能の発現にも深くかかわっています。
 さらに腸内内容物の解析技術の進歩により、消化された食物、腸管に分泌された胆汁酸、腸内細菌の代謝産物などの情報も得られるようになり、哺乳類などが有さない酵素を腸内細菌が保有しており物質代謝を担うこと、異なる種の腸内細菌同士が栄養を供与し合いながら生存に適した環境形成をしていること、腸内細菌が腸管細胞に影響しホルモン産生を制御すること、逆に腸管から放出されるホルモンが細菌の増殖を促進、抑制することなどが明らかとなり、腸管は一つの独立した”代謝臓器”と理解されるようになってきました。
腸内細菌叢が体脂肪蓄積に影響する
 腸内細菌が食品中の難消化性糖類(食物繊維)を分解し、その最終産物である短鎖脂肪酸が腸管より吸収され、エネルギー源として利用されます。また、腸内細菌叢は脂肪合成酵素などを誘導し脂肪合成を亢進させるとともに脂肪分解を抑制し、体脂肪を増加させます。
腸内細菌叢の肥満の予防
 肥満の脂肪細胞は、余剰のエネルギーを脂質として蓄積しているだけでなく、軽度の炎症状態を呈しており、それがインスリン抵抗性、耐糖能異常を惹起することが明らかとなりました。この軽度の炎症は脂肪酸が原因物質となることが考えられてきましたが、この慢性炎症に対する腸内細菌叢の寄与が最近明らかになってきました。
 また、腸内細菌叢が消化管ホルモンの産生・分泌を介して食欲抑制、血糖調節に寄与しており、ビフィズス菌の増加はこれらホルモンの産生・分泌を増加させ肥満に抑制的に働いていることが示唆されています。
 このように腸内細菌や腸内環境がアレルギーはもとより肥満や糖尿病などの生活習慣病、最近ではうつなどの精神的な疾患にも関連することが解ってきました。
 様々な健康に関する情報の中でも盛んに善玉菌を増やし、疾患の予防や改善の報告がされています。しかし、完全に確立した方法はまだありません。日頃から発酵食品を摂るように心がけて善玉菌を増やし、腸内環境を整えましょう。
 食品から摂ることが難しい方は健康食品でフォローするのも一つの方法です。店頭にてご相談ください。


昭和堂薬局 | 2013年6月28日


横浜ポルタ内にある漢方薬局。あなたの健康な体を取り戻すお手伝いを致します。