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運動が体にいい理由 その2

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適度な運動を続けていくと、身体は大きな変化をしていきます。
簡単にその変化を紹介すると…

 

神経系
運動によって認知機能が改善します。有酸素運動は特に高齢者の組織力や計画能力、注意力を改善します。
免疫系
定期的な運動は体を炎症から守ります。しかし、過剰な運動は病原体から体を守る免疫力を弱める恐れがあります。
骨格筋
ウエイトトレーニングとバランス運動によって骨折や転倒を予防できます。有酸素運動で筋肉の効率が上がり、日常の疲労が軽減されます。
遺伝子への影響
身体活動レベルの変化によって特定の遺伝子のスイッチがオン・オフされることがわかってきました。その影響は多くの場合、穏やかなものですが広範囲の細胞で起こります。
内分泌系
運動は体のインスリンへの反応を改善し、別のホルモンであるアディポネクチンの量を上昇させます。これらの結果、糖尿病やメタボリック症候群のリスクを減らします。

 

もう少し具体的に運動が認知機能や心血管系、糖尿病にどのような影響をもたらしているのかをみることにしましょう。

 

運動によって集中力や思考力、判断力が高められることがわかってきました。これは、60代70代の120人を対象とした調査により、脳の海馬という記憶をつかさどる領域が大きくなることが示されました。この海馬という部分は神経細胞が生まれ変わることが出来る部分で、その後、動物実験では新しい神経を成長させる脳由来神経栄養因子(BDNF)という物質が運動により高められることが示されました。この運動による脳の変化が認知機能に影響していたのです。

 

以前から、運動により心血管系のリスクが減ることは言われていました。これまではこの血管系には、運動により血圧が下がり、血中のHDLコレステロール(善玉コレステロール)は増え、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が下がることによると考えられていましたが、運動によるこれらの効果は非常に時間がかかることがわかってきました。また、LDLは濃度の高さよりもLDLの大きさが重要であることがわかってきました。この変化は、運動によりリポたんぱくリパーゼという酵素が脂肪組織や筋組織で活発に働くようになり、LDL分子の大きさを小さくしているようです。これは、コレステロール値が同じ人でも運動量が違えばリスクも違うということです。

 

もう一つが、血糖値に対する作用です。運動が習慣になると、骨格筋に負荷が増え、エネルギー源としてブドウ糖が必要になります。長期的には運動により骨格筋の筋線維がブドウ糖をより効果的に利用できるようになり、筋力が増します。また、運動が日常的に行われるようになると、筋肉はインスリンに敏感に反応するようになり、少ないインスリンでも血糖値が抑えられるようになるのです。

 

現代人の飽食と運動不足は、肥満の増加の原因として社会問題化しています。食べるものはいくらでも手に入り、交通機関が発達したことでほとんど歩かなくても生活できる世の中です。運動は少しの工夫でできるものです。ジムに行かなくても通勤や買い物の時に乗り物ではなく歩いてみるのも良いのではないでしょうか。

 

参考図書;日経サイエンス2014年7月号


昭和堂薬局 | 2014年9月1日


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