『昭和堂薬局』

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やすらぎ通信

 

やすらぎ通信(平成26年秋彼岸)表やすらぎ通信(平成26年秋彼岸)裏

今回、横浜日野にある善光寺さんからの依頼で、井上家のお墓があるやすらぎの郷霊園の「やすらぎ通信」にコラムを掲載したのでご紹介します。

 

◆仏教と東洋医学

 お釈迦さまは医者の王様の意で、医王と言われることがあります。
 『医王の目には百草みな薬なり』と言われる事もあり、お釈迦さまが薬草に関する知識を利用して多くの人々の病気を診ていられたあります。
 仏教では、心身一如(しんじんいちにょ)といわれ、身体と心・精神は分けて考えることはできません。体と心のバランスを保つという意味で、仏教と東洋医学は似通っている点があるのではないかと思います。身体と心の健康について学んでいきたいと思います。

 

1回 ~東洋医学的身体のバランスとは~

◇陰と陽

 東洋医学では身体のバランスを示す“ものさし”の一つに「陰」と「陽」があり、世の中に存在するすべてのものは、この「陰」と「陽」との二つの要素から成り立っていると考えています。
成長と老化-2-2 天は陽・地は陰、熱は陽・寒は陰、夏は陽・冬は陰、男は陽・女は陰といった具合です。この陰と陽の関係は相手がいなければ自分もいない、例えば「天」がなければ「地」はありません。逆に「地」がなければ「天」もありません。お互いに協調し合い、ときに相手を抑えたり、ときに抑えられたりしています。陰が強く雨ばかりでも、陽が強く晴ればかりでも豊かな実りは得られません。この様に陰陽は変化し合いながらバランスを取っているのです。
 人は、男女の交わりで生まれます。具体的にいうと陽である男性の精子と陰である女性の卵子が交わることで新しい命が生まれてきます。
 これとは逆に、人の死とは陰と陽の交わりが無くなり、陰陽が乖離してしまうことで、人は亡くなっても物質(陰)はそのままで、エネルギーである気(陽)が無くなった状態なのです。そして、身体から離れていった陽気が三途の川を渡っていくのではないでしょうか。この先は善光寺さんお任せします。
これを踏まえて考えてみると、人間の健康とは一体どんな状態なのでしょうか。

 

◇健康とは

 体の働きを「陰」と「陽」でみると、基本となる陰は物質、陽は機能と捉えることができます。機能である陽の働きは物質代謝やエネルギー代謝、成長などで、陰である物質は機能を支える物質(例えば血)です。この陰陽のバランスが保たれていると健康といえるのです。このバランスが崩れることにより人は病気となってしまいます。
 では、陰陽のバランスの崩れとはどんな状態なのでしょうか。
 なんらかの原因により、陰陽のどちらかが強くなる、もしくはどちらかが弱くなって起こります。簡単にいうと陽が強くなる、または陰が弱くなると熱症状が起こります。陽が弱くなるまたは陰が強くなると冷え症状が起こります。

 

◇自然のバランス

 この陰陽のバランスの崩れが自然界で起こっている事柄として地球温暖化が挙げられるでしょう。これは環境破壊などでオゾン層が薄くなり陽である日差しが強くなったことや陰である地表をアスファルトで覆い隠してしまった事による地球の熱症状なのです。
 しかし、自然界もこの状態を元に戻そうとする力があります。熱せられて乾いてしまった地表を潤す雨は人間が利便性だけを追求し作り上げたこの異常な状態を戻そうと過剰反応を起こし、その結果ゲリラ豪雨や集中豪雨という形で天災という災害(病気)を生んでいるのではないでしょうか。

 

◇先人の知恵

成長と老化-2-1 人間もだんだんと年をとっていくと陽であるエネルギーが不足し始めます。そこに冷房や冷たい物の摂り過ぎで陽を損傷して冷えが起こり、いろいろな病気が起こってくるのです。
 日本には、“年寄りの冷や水”という諺があるように、だんだん年を重ねていくと冷えるような行為は慎まなければいけないのです。
 日本には四季があり、四季折々の食べ物があります。その食べ物にも体を温めるもの、体を冷やすものがあります。簡単にいうと夏採れるものは体を冷やし、冬に採れるものは体を温めます。しかし、現代ではスーパーの店頭で季節を感じられなくなっていますよね。冬でも夏野菜のトマトやキュウリ、なすなどが店頭に並び、日本料理のお店でも冬のメニューに普なすを使った料理が出ることもあります。このような食事は陰陽のがランスから見ると違和感があります。
 「なすを食べる時は生姜を添える。」これは、夏になすで冷えすぎないために生姜を添えて陰陽のバランスをとっている先人の知恵。冬はもともと寒くて体が冷えているのに、更に体を冷やす食材をとってバランスを崩すこともないかと思います。その様な見方で生活習慣を振り返ると意外に体を冷やしている事に気がつきます。先人の知恵、日本の伝統食を見直して元気な生活を送れるようにしたいですね!


昭和堂薬局 | 2014年9月18日

 

運動が体にいい理由 その2

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適度な運動を続けていくと、身体は大きな変化をしていきます。
簡単にその変化を紹介すると…

 

神経系
運動によって認知機能が改善します。有酸素運動は特に高齢者の組織力や計画能力、注意力を改善します。
免疫系
定期的な運動は体を炎症から守ります。しかし、過剰な運動は病原体から体を守る免疫力を弱める恐れがあります。
骨格筋
ウエイトトレーニングとバランス運動によって骨折や転倒を予防できます。有酸素運動で筋肉の効率が上がり、日常の疲労が軽減されます。
遺伝子への影響
身体活動レベルの変化によって特定の遺伝子のスイッチがオン・オフされることがわかってきました。その影響は多くの場合、穏やかなものですが広範囲の細胞で起こります。
内分泌系
運動は体のインスリンへの反応を改善し、別のホルモンであるアディポネクチンの量を上昇させます。これらの結果、糖尿病やメタボリック症候群のリスクを減らします。

 

もう少し具体的に運動が認知機能や心血管系、糖尿病にどのような影響をもたらしているのかをみることにしましょう。

 

運動によって集中力や思考力、判断力が高められることがわかってきました。これは、60代70代の120人を対象とした調査により、脳の海馬という記憶をつかさどる領域が大きくなることが示されました。この海馬という部分は神経細胞が生まれ変わることが出来る部分で、その後、動物実験では新しい神経を成長させる脳由来神経栄養因子(BDNF)という物質が運動により高められることが示されました。この運動による脳の変化が認知機能に影響していたのです。

 

以前から、運動により心血管系のリスクが減ることは言われていました。これまではこの血管系には、運動により血圧が下がり、血中のHDLコレステロール(善玉コレステロール)は増え、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が下がることによると考えられていましたが、運動によるこれらの効果は非常に時間がかかることがわかってきました。また、LDLは濃度の高さよりもLDLの大きさが重要であることがわかってきました。この変化は、運動によりリポたんぱくリパーゼという酵素が脂肪組織や筋組織で活発に働くようになり、LDL分子の大きさを小さくしているようです。これは、コレステロール値が同じ人でも運動量が違えばリスクも違うということです。

 

もう一つが、血糖値に対する作用です。運動が習慣になると、骨格筋に負荷が増え、エネルギー源としてブドウ糖が必要になります。長期的には運動により骨格筋の筋線維がブドウ糖をより効果的に利用できるようになり、筋力が増します。また、運動が日常的に行われるようになると、筋肉はインスリンに敏感に反応するようになり、少ないインスリンでも血糖値が抑えられるようになるのです。

 

現代人の飽食と運動不足は、肥満の増加の原因として社会問題化しています。食べるものはいくらでも手に入り、交通機関が発達したことでほとんど歩かなくても生活できる世の中です。運動は少しの工夫でできるものです。ジムに行かなくても通勤や買い物の時に乗り物ではなく歩いてみるのも良いのではないでしょうか。

 

参考図書;日経サイエンス2014年7月号


昭和堂薬局 | 2014年9月1日


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