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食事と加齢が腸内環境に影響する

 過去のコラムでも腸内細菌の重要性はお話しさせていただいておりました。テレビや雑誌などでも話題になっており、ご存知の方も多いかと思います。

 

 世界的にも腸内環境の研究は注目されており、腸内細菌叢は炎症性腸炎や大腸がん、過敏性腸症候群などの腸疾患にとどまらず、肥満や糖尿病、動脈硬化、腎疾患、喘息、アレルギー、精神疾患など様々な病気と関係していることがわかってきました。
人の腸内細菌は、生活環境や食生活などで日々変化します。腸内細菌叢は、指紋の様に人それぞれです。その中でも大きな変動要因となるのは食生活と加齢であると言われていますが、抗生物質の服用も多大な影響を与える要因になります。また、ストレス社会と呼ばれる現代においては、そのストレスも腸内細菌の変動要因になります。

 

 腸内細菌叢のバランスに影響を与える要因が数多く報告されている中で、特に影響すると思われるものが「食生活」です。一般的には高脂肪・高たんぱく質食が良くなく、高食物繊維・低脂肪で構成される伝統的な食事がいいとされています。これを裏付ける報告も多数存在します。

 

 最近は、日本でも肉類の摂取量は増加の一途をたどっており、腸内環境への影響が危惧されています。また、時間に追われる現代人は、手軽で簡単に食べられるものを選ぶ機会も多く、それが肥満やアレルギーの多い現代を象徴しているのかもしれません。

 

 ではどうすれば良いのでしょうか。
 肉食を摂取した際のヨーグルト摂取が腸内細菌叢にどのような影響を与えるかを調べた研究がありました。それによると肉食期間中からヨーグルトを摂取した人達は、肉食期間後ヨーグルトを摂取する又はヨーグルトを摂取しない人達に比べ、善玉菌の減少が抑えられ、炎症を誘導する菌の増殖を抑えることができたそうです。

 

 また、「加齢」による腸内細菌の変化も1970年代から言われていましたが、実際に詳しく調べることが出来るようになったのはつい最近です。そこで、健康な日本人の疫学調査では、高齢になると腸管のバリア機能を低下させ炎症を誘発する菌が増え、抗炎症に働く善玉菌の減少が認められました。また、年齢は70歳代後半と90歳前後で大きく変化していたそうです。

 

 これらのことからも、健康を維持することの一つに、腸内細菌叢のバランスを悪くしないことが挙げられます。上述したヨーグルトの研究も一つの方法でしょうが、東洋医学的な養生では、冷える行為はよくないとされています。特に年をとると尚更で、「年寄りの冷や水」という言葉があるくらいです。お腹を冷やさないで腸内細菌叢を維持できると理想的ですね。


昭和堂薬局 | 2017年5月18日


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