『昭和堂薬局』

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婦人科と東洋医学 ~長い歴史に培われた漢方~

 古くから婦人科疾患には漢方薬がよく使われてきました。現代においても婦人科疾患は漢方薬の得意分野であることは変わっていません。これは東洋医学の歴史の中で古くから婦人科を専門科として設置し、その後長い歴史と経験を積み重ね、現在の日本や中国においても大きく貢献しています。

 

 3,000年以上前の紀元前17世紀、殷の時代の甲骨文卜辞には出産問題などが記載され、現存する古典著書「易経」に「婦孕不育」「婦三歳不孕(結婚後3年経っても妊娠しない)」などの記載があります。

 

 以前このコラムでも少し紹介していますが、2,000年以上前の最古の医学書と言われている「黄帝内経」には、女性の解剖・生理・診断などが記載されており、女性の成長・発育・老化(初潮や閉経など)のメカニズムが示されています。

 

 その後、張仲景という人の著書「金匱要略」では、月経病、妊娠病、産後病・雑病などを症候の描写や方剤治療について、現在も使用されている処方が30種類以上記載されています。2,000年近く前の処方が現在の多く使われていることは、その効果の裏付けではないでしょうか。

 

 女性には月経、妊娠、出産、哺乳といった女性特有の生理現象があります。「本草綱目」という書物には、「女性は陰の類であり、血を主とする。その血は上では太陰(月)に応じ、下では海潮に応じ、月に満ち欠け潮に満干があるように、月事も1月に1回あり、これに一致する。ゆえに月信・月水・月経という」と述べられています。

 

 「女性は血を主とし、血によって機能する。」また、「女科撮要」では、「経水は陰血であり、衝任二脈が主る。上がっては乳汁となり、下っては月水となる」と述べられており、月経の発生と調整は血の盛衰の影響を受けることを説明しています。これらのことから、女性は血の不足を起こしやすく、漢方的養生は補血が中心になります。

 

 以上のことからも、紀元前の昔から人間の体はそれほど変化していないのです。しかし、人間を取り巻く環境は激変しています。いろいろな面で便利になった現代ですが、便利になりすぎて体にとってはある意味、いい環境ではないのかもしれませんね。


昭和堂薬局 | 2017年9月13日

 

生体バリア6 ~肥満は病気の入り口~

 肥満は“カッコ悪いだけ”と思っていませんか?

 

 肥満は病気の入り口です。肥満は糖尿病や心筋梗塞だけでなく、がんを促進することが指摘されています。高脂肪食などの摂取により肥満になると、腸内環境も変化します。このことは以前からお話ししているのでご存知かもしれません。腸内細菌はグラム陽性菌のファーミクーティス門の菌の割合が増えて、グラム陰性菌のバクテロイディス門の菌の割合が減ってきます。すると二次胆汁酸を産生するグラム陽性菌が増加し、体内の二次胆汁酸であるデオキシコール酸の量が増えます。これにより腸肝循環で肝臓の間質に存在する肝星細胞が「細胞老化」を起こすことが明らかになりました。細胞老化を起こした肝星細胞は発がん促進作用のある炎症性サイトカインなどを分泌することで、肝実質細胞のがん化を促進する環境をつくることが示されました。

 

 また、以前の報告では、グラム陰性菌の細胞膜成分であるリポ多糖(LPS)が肝がん促進因子として働くとされていたが、最近の研究でグラム陽性菌の細胞壁由来成分のリポタイコ酸(LTA)が肝がん促進因子ではないかといわれています。また、このリポ多糖によって、炎症を起こしてしまう物質をつくる酵素の発現が上昇します。これらのことが、がん微小環境で抗腫瘍免疫の抑制やがんの進展につながる可能性が示されています。
(私もこのことは以前から疑問に思っており、減ってしまった菌の成分が影響することに不自然な感じがしていました。)

 

 病気になるということは、遺伝的要素や環境要因も影響するとは思います。しかし、毎日食べているものが影響していくこともあるのです。生体バリアについてこれまで、6回シリーズで話してきました。生体バリアを脆弱にしてしまう食事は高脂肪・低食物繊維食です。食事についてはその他いろいろあるとは思いますが、言い出すと限がないので今回は低脂肪・高食物繊維食をご提案させていただきます。


昭和堂薬局 | 2017年9月2日


横浜ポルタ内にある漢方薬局。あなたの健康な体を取り戻すお手伝いを致します。