『昭和堂薬局』

不妊症の原因

女性不妊

内分泌・排卵因子
視床下部-下垂体因子
無排卵周期症
 ほぼ規則的に月経様の出血はあるが、排卵を伴わない病態を無排卵周期症といいます。月経周期は不規則なことが多く、月経持続期間も短かったり長かったりします。基礎体温は低温一相性を示します。
 無排卵周期症は、卵巣機能が未成熟な思春期や卵巣機能が低下しつつある更年期にみられることが多く視床下部機能異常、多嚢胞性卵巣症候群などにより起こることも多くあります。
 ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)は、下垂体前葉でLH、FSHの産生・分泌を促進するホルモンで約60分間隔でパルス状に分泌されていますが、無排卵周期症は視床下部・下垂体の何らかの障害によりGnRHのパルス状分泌障害が原因となっています。
 GnRHのパルス状分泌障害によりLH・FSHのパルス状分泌障害が生じ卵胞の発育障害が起こり排卵が起こらない。発育が不十分の卵胞が退縮するとエストロゲン消退出血が起こり、卵胞の発育が遷延するとエストロゲン破綻出血が起こります。
 月経周期が50日以上の約30%、20日以内の約60%は無排卵と言われています。
 治療は妊娠希望があれば排卵誘発剤(クロミット)服用を行います。

高プロラクチン血症
 妊娠・分娩・産褥期以外の時期に下垂体前葉からのプロラクチン分泌が過剰になった状態。
 プロラクチンの分泌調節では、放出因子(PRF)による分泌促進作用よりも抑制因子(PIF)すなはちドパミンによる抑制作用の方がはるかに強いため、通常(妊娠してない時)はプロラクチンは低値です。しかしプロラクチンが過剰になったり、ドパミンによるプロラクチン分泌抑制が作用しなかたりすると乳汁露出や性腺機能低下が生じます。
 原因はプロラクチン産生下垂体腺腫、視床下部・下垂体障害、薬剤性、甲状腺機能低下症、流産などがあります。
 治療は原因により異なります。

卵巣因子
多嚢胞性卵巣症候群
 両側卵巣の多嚢胞性腫大に月経異常・不妊を伴い、内分泌検査でLH高値を特徴とする内分泌疾患。
 何らかの内分泌異常によって卵胞発育が抑制され、多数の発育途上の卵胞が存在し、超音波検査で多数(12個以上)の膿胞(ネックレスサイン)がみられ、白膜の肥厚がみられます。
 原因はよくわかっていません。
 治療は、妊娠希望がある場合はクロミフェン療法・hMG‐hCG療法(ゴナドトロピン療法)・腹腔鏡下手術(卵巣焼灼、卵巣楔状切除)を行い、妊娠を希望されない場合はゲスターチン(黄体ホルモン)の周期投与により消退出血を起させます。

早期卵巣機能不全(POF)
 40歳までに閉経期と同じ状態(高ゴナドトロピン性低エストロゲン血症)となり、続発性無月経を呈する。排卵誘発は著しく困難です。
 早期卵胞喪失:卵巣内に卵胞がないため排卵が起こらない。治療しても排卵は起こらない。
 ゴナドトロピン抵抗性卵巣症候群:ゴナドトロピン分泌異常またはゴナドトロピン受容体異常のため排卵が起こらない。ゴナドトロピン分泌を正常化すると排卵がみられることもあります。
 治療は妊娠希望があればカウフマン療法+排卵誘発(hMG‐hCG療法)を行います。

黄体機能不全
 黄体からのプロゲステロンの分泌不全により、黄体期の短縮、ときに機能性出血を起こします。
 黄体期の血中プロゲステロン値が10ng/ml未満で、基礎体温は低温期から高温期への移行が3日以上を要し、高温期が10日以内で高温期と低温期の差が0.3℃以内で体温の陥落などある。
 黄体機能不全の原因の詳細はよくわかっていませんが、視床下部‐下垂体‐卵巣系の内分泌異常に加え、子宮内膜の発育異常などが絡み合って発症すると考えられています。
治療は
1.黄体期にプロゲステロンを補充
2.黄体期にhCG(LH様作用)を投与し黄体を刺激
3.クロミフェン療法
4.hMG-hCG療法(ゴナドトロピン療法:FSH様作用-LH様作用)
5.潜在性高プロラクチン血症がある場合はその治療(潜在性高プロラクチン血症は排卵障害や黄体機能不全の原因になる)

卵管因子
 女性側不妊因子の30%ほどを占めます。その主たる原因は、細菌感染や子宮内膜症による炎症の発生によって、卵管周囲癒着や卵管采癒着による卵管運動性障害と卵管通過障害です。

子宮因子
子宮筋腫:筋腫により受精卵の着床が障害される
子宮奇形:形態異常により受精卵の着床が障害されている
アッシャーマン症候群:癒着により子宮内腔がふさがっている

頸管因子
 免疫異常:正常では存在しない抗精子抗体が存在し、精子の侵入を阻害する

男性不妊

 不妊は、女性側に原因があるように思われがちですが実際には男性に原因があることも多くあります。
 精巣で造られた精子は、精巣上体、精管を経て精嚢で前立腺由来の分泌液とともに精液を構成し性的絶頂で射精されます。これらの機能の1つでも障害されると男性不妊の原因になります。男性不妊の中で造精機能障害が最も多いです。(70~80%)
・造精機能障害:精子の形成や成熟ができない。(精索静脈瘤・停留精巣・精巣炎)
・精路通過障害:精子の輸送経路が障害されている。(先天的発育不全・精管炎・精巣上体炎)
・副性器障害:精嚢・前立腺の炎症により精子が影響を受ける。(精嚢炎・前立腺炎)
・性機能障害:性交または射精できない。(性交障害・射精障害)


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