『昭和堂薬局』

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雑誌などで女性の体調に関する特集記事は多いと思います。

 女性は自分の身体に関する情報に対し関心がある方が多く、最近も女性向け雑誌に40歳以降の女性の不調について特集が組まれておりました。その記事では女性ホルモンの不足による影響の可能性がある場合、ホルモン補充療法を勧めている内容でした。
しかし、意外にホルモン補充療法を敬遠する人が多くいることも事実です。重大な病気がないのであれば、漢方という選択肢もいいのではないでしょうか。

 

 東洋医学において女性の体調変化をどうとらえていくかをご説明します。
人間の生理現象を著した東洋医学で有名な条文があります。黄帝内経という2千年前の書籍に書かれています。
その黄帝内経素問「上古天真論篇」には、「女子は七歳になると、腎気が充たされだし、歯が抜けかわり、毛髪もまた長くなってきます。十四歳になると、天癸が発育・成熟し、任脈は伸びやかに通じ、太衝の脈は旺盛になって、月経が時に応じてめぐってきます。だから子供を産むことができます。二十一歳になると、腎気が充満し、智(ち)歯(し)(親知らず)が成長して、身体の丈もまたのびきります。二十八歳になると、筋骨はしっかりして、毛髪ののびも極まります。この時期は身体が最も強壮である時期です。三十五歳になると、陽明経の脈が次第に衰え、顔面部はやつれはじめ、頭髪も抜けはじめます。四十二歳になると、三つの陽経の脈はすべて衰えてしまいます。それゆえ顔面部はまったくやつれ、頭髪もまた白くなりはじめます。四十九歳になると、任脈は空虚になり、太衝の脈は衰え、天癸は竭きて、月経が停止します。それゆえ身体は老い衰えて、もう再び子を産むことはできません。」(現代語黄帝内経素問東洋学術出版社より抜粋)と書かれています。(養〇酒のCMで使われていましたよね。)
ちょっと難しいかもしれませんが、簡単に言えば女性は7の倍数で変化していくということです。そして、14歳で生理が起きて子供が産めるようになり、28歳で腎の力が一番強くなり、少しずつ衰えて、49歳で閉経し子供を作れなくなるといっています。(2千年前も今も女性の生殖サイクルは変わらないんですね)
この女性の生殖に関わる根本的な力は腎精です。
では精を貯蔵している腎について見てみましょう。

 

 腎とは
「腎」は身体の中で最も大切な臓器の一つ。中医学では、広く生殖や成長・発育、ホルモンの分泌、免疫系などの機能を併せ持つ“生命の源”と考えられています。

 

・腎の主な働きは、生命を維持するエネルギー源「精」(成長・生殖機能)を蓄える
・体内の水分をコントロール(排尿機能)する
・酸素を体内に深く吸い込む納気機能
・骨や歯、脳、髪などの生育
・耳や尿道、肛門の機能維持

 

 このように、腎は身体全体の健康と深く関わっています。腎に蓄える精が不足し、機能が衰えると不妊症や精力の減退、更年期障害、骨粗鬆症、排尿トラブル、脱毛、健忘症、聴力の低下といったさまざまな不調や老化現象が現れるのです。

 

 加齢により男女とも腎が衰えていきます。特に女性は閉経という生理現象により、女性ホルモンが急激に減少し様々な症状が現われてきます。(個人差があります)

 

 閉経期(東洋医学では絶経期という)には、眩暈、耳鳴り、ホットフラッシュ、発汗、心悸(動悸)、不眠、煩燥して怒りっぽい、潮熱(夕刻の発熱)または顔面・目・下肢の浮腫、食欲不振、下痢または月経異常、情緒不安定などが現われます。

 

 これは“腎虚”という状態であり、さらに腎陰虚、腎陽虚、腎陰陽両虚という状態に分けることができます。閉経期における女性の3分の2以上が腎陰虚であり、残りが腎陰陽両虚です。閉経期は単純な陽虚はほとんどありません。さらに五臓の心・肝・脾に波及して、いろいろな症状を生じます。

 

 出てくる症状により漢方を選択していく必要があるため、ご相談いただくと幸いです。

 

 また冬は、五行学説で考えると「腎」にあたる時期です。腎は寒さに弱いため、身体が冷えたり不摂生な生活を続けると、機能が衰えやすくなってしまいます。積極的な養生を心がけ、腎を健やかに保ちましょう。


昭和堂薬局 | 2019年11月15日

 

胃腸の弱い方の養生法

 今回は、胃腸の弱い方の養生法をお話ししたいと思います。
 日本は島国で高温多湿であるためか胃腸の弱い方が多くいらっしゃいます。この胃腸を東洋医学の臓腑でいうと「脾・胃」にあたります。ジメジメと暑い梅雨時期や季節の変わり目は特に注意が必要です。7月、8月と暑い日々が続きますが、暦の上では秋は目の前に来ています。(今年の立秋は8月8日)立秋の前18日間が季節の変わり目である土用にあたります。土用は、五臓六腑では「脾・胃」と関係が深く、また「脾・胃」が疲れやすい時期でもあります。
「脾」は栄養素や水分を吸収し全身に運ぶ「運化」という働きがあり、「胃」は飲食物の「消化」の働きがあります。食事から栄養を吸収し、生命活動の基礎物質である「気(エネルギー)」や「血」を生み出す大切な機能を担っています。

 

◆食べることは「命をいただくこと」
 「脾・胃」が元気で栄養をしっかり摂ることができれば、基本的な体力、免疫力が養われ、健康な身体をつくることができます。一方、脾胃の機能が弱くなると、食欲不振や消化不良、下痢といった症状を招き、栄養やエネルギーが不足しがちになります。また、体調を崩しやすくなり、夏バテや疲労、冷えといった不調も起きやすくなってしまいます。我々の身体は、食べ物からできています。食べることは、空腹を満たすだけではいけないのです。しっかり栄養と取って元気な身体を作るためにも、この「脾・胃」を健やかに保つことが重要です。

 

◆「脾・胃」の働き

 「脾・胃」は体内の「気」(エネルギー)・「血」を生み出す源です。飲食物を消化して栄養素や水分を吸収し、気や血に変えて全身に運びます。脾・胃が元気なら、食欲は旺盛で栄養をしっかり摂ることができるので、身体全体が元気になります。また、基本的な体力が養われ免疫力も高まるので、病気にもかかりにくくなります。反対に、脾・胃の働きが弱くなると食欲が落ち、胃もたれや消化不良、疲労感といった症状が現れるようになります。「気」の不足によって、不要になった水分を尿に変えることができず痰湿(不要な水)が溜まりやすくなり、そのため下痢やむくみなどの症状が現れることもあります。痰湿は脾・胃の機能をさらに低下させてしまうので、早めに取り除くことが大切です。脾・胃には栄養素を肺などに運び上げる働きもありますが、この機能は、内蔵を持ち上げて正しい位置に保つ役割も果たしています。そのため、脾・胃の働きが弱くなると、胃下垂など内蔵下垂の症状が現れることもあります。脾・胃は冷えに弱いため、冷たい飲食物の摂り過ぎに注意しましょう。暑い日には、食べやすいそうめんで済めせてしまいがちになります。これが逆効果。日頃から温かい食べ物、飲み物を摂るよう心がけるだけで、脾・胃をいたわることができ、夏バテにもなりにくくなります。

◆暮らしのワンポイント
・冷たいものは脾・胃の大敵です。
 東洋医学には「冷たいものは脾・胃を傷つける」という言葉があります。なるべく温かい食べ物、飲み物を摂るよう心がけ脾・胃をいたわりましょう。サラダや刺身などを食べるときは、みょうがやしそを添えるなどの工夫をしましょう。また、暑いからといって冷房で身体を冷やし過ぎてしまうこともよくありません。下がってしまった体温を元に戻すために「気(エネルギー)」が使われてしまい、気の不足を起こしやすくなります。
・暴飲暴食や脂っこい食べものは避けましょう。
 暴飲暴食はもちろん、脂っこいものの食べ過ぎや激辛料理なども脾胃の機能を低下させる原因になります。脾胃に負担のない食事を心がけましょう。
・食事に集中しましょう。
 中国には「専食」という言葉があり食事中は食べることに専念することが大切とされています。本を読んだりテレビを見たり、おしゃべりをしたり考えごとはほどほどに。食事中は「専食」を心がけましょう。
・身体を動かして食欲アップ!
 ウオーキングなど、日頃から適度な運動を心がけて。身体を動かして軽い疲労を感じると、脾胃が働いて食欲がアップします。また、冷房で冷えた体を寝るすこし前にお風呂で温めてあげると眠りやすくなり疲労回復につながります。
・朝食は消化の良いものを
 脾胃がまだ働いていない朝の食事は、温かく消化の良いものを取るといいですね。中国では「おかゆ」が朝食の定番メニューです。
・食欲がないときは香りの良いものを
 脾胃の不調で食欲が落ちているときは、香りの良い食材を摂り入れてあげると食欲増進につながります。その代表がカレーです。暑いインドで食欲を落とさない食べ物です。また、みょうがや山椒の実を薬味として使うのもおすすめです。


昭和堂薬局 | 2019年7月11日

 

不眠障害(不眠症)

 不眠障害には、3つのタイプがあります。入眠時不眠(入眠困難、初期不眠)、睡眠維持不眠(睡眠維持困難、中期不眠)、早朝覚醒不眠(後期不眠)です。睡眠時間は正常であっても、目覚めた後に回復感が感じられない不眠もあります。

 

 不眠障害は、女性に多く、中高年によくみられる疾患ですが、不眠症のタイプによって年齢層は異なります。入眠時不眠は若年層に多く、睡眠維持不眠は中高年層で多くみられます。若年層では、夜更かしや昼夜逆転など不規則な生活習慣、中高年では、眠りつづける能力の低下という加齢による問題があります。

 

 脳の中には、「睡眠中枢」と「覚醒中枢」と呼ばれる部位があります。普段、活動中は覚醒中枢が優位で、活動中の疲労や夜になると睡眠中枢の活動が強くなり眠ります。朝になると再び覚醒中枢が活発になり目が覚めます。

 

 東洋医学において睡眠と覚醒は、陰陽、静動という異なった2つの状態が互いに入れ替わり正常な生命活動を維持することができると考えています。

 

 人体の睡眠と覚醒の交替は、陰陽が出入りする過程と捉え、陽は動を主り、陰は静を主ります。 昼間は陽気が体表に出て陽気が盛んになり、(相対的に)陰気が衰えます。夜間は陽気が体表から裏に入って陰気が盛んになって(相対的に)陽気が衰えます。それゆえに、昼間は覚醒して労働し、夜間は眠って休息するのです。 中でも、衛気という体表面を流れている気の運行が睡眠と密接に関わっています。衛気が体表面に出ると目覚め、裏に入ると眠ると考えられています。

 

 先天的に気の不足があったり、何らかの影響で、陰精を消耗すると腎水が心火をコントロールできずに不眠になります。そのような人は、腰や膝がだるくて力がなく、頭がふらついて、耳鳴り、胸が悶えて眠れないなどの症状があります。

 

 色々と考えすぎてしまうことは、心・脾を傷つけ陰血が不足してしまうので、血が心を養えず不眠になります。そんな時は、動悸・健忘・全身倦怠、疲れ易い、口淡で無味、顔につやがない、夢が多いなどの症状が現われます。

 

 飲食が不摂生で脾胃が傷つくと、衛気が陰分を正常に出入りできなくなり不眠になります。その結果、腹部膨満感、曖気、呑酸などの症状と、寝返りをうって眠れず、一晩じゅう眠れない状態が現われます。

 

 不眠の原因は多種にわたります。

 以前、睡眠は休息と考えられていましたが、それ以外に重要なことをしていることがわかってきています。「眠れない」は、漢方相談でもよく耳にする言葉です。入眠障害だけを不眠と思っている方も多くいらっしゃいます。漢方薬は、西洋薬の入眠剤や安定剤と違い1回飲んだだけでは効いてくれませんが、何となく眠れるようになることが多いです。漢方薬でバランスをとって眠れる心身を取り戻してみるのもいいのでは…。


昭和堂薬局 | 2019年6月26日

 

春はメンタルの季節です。

 春めいた日が、少しずつ増えてきました。
 そろそろ春に増える病に備えておきたいですね。
 年間を通して漢方相談で多いものは、不妊などの婦人科疾患、アトピーやニキビなどの皮膚疾患、うつなどのメンタル疾患です。その中でも春に増える相談がメンタル疾患です。

 

 メンタル疾患の訴えの中で「不安」「恐怖(怖い)」という症状がよく聞かれます。これらは情動です。
脳機能の中に情動(感情の一種)の制御があります。ここ数年の研究によって免疫系や腸内細菌叢がその制御に影響を及ぼしていることが明らかになってきました。

 

 感染症や自己免疫疾患、神経変性疾患などの病気では免疫系の活性化と共に心理変化が起こることが知られています。情動に関しても例外でなく、免疫系の活性化する多くの疾患において情動の変化が報告されています。

 

 このメカニズムを簡単に説明すると、腸内細菌が作り出す物質(リポ多糖など)により免疫が活性化し、免疫細胞の分泌する炎症性サイトカインが神経に作用し不安行動を亢進していることが明らかになってきています。これは腸内細菌叢の影響以外でも、他の原因で免疫系が活性化しても起こります。また、活性化した免疫細胞がその細胞内にアミノ酸を取り込み、脳での神経伝達物質濃度が減少して不安や恐怖という情動に影響していることも分かってきています。

 

 以前からコラムでも述べてまいりましたが、病気の大多数に炎症が関係しているのです。メンタル疾患も例外ではないのです。この炎症を起こしやすい環境をつくっているのが食事だと考えられ、食の欧米化や添加物の影響などが炎症を起こしやすい環境をつくっているのです。

 

 漢方相談でメンタル疾患に脾胃(胃腸)経の処方をよく使うのも、この事実からも頷くことができます。


昭和堂薬局 | 2019年2月25日

 

暑い夏だから気をつけたい冷え

 今年の夏は梅雨明けが例年よりも早く、厳しくなりそうですね。
以前に、夏の養生法のお話をしましたが、その内容は主に暑さ対策でした。
しかし、最近はいろいろな所で、これでもかと言わんばかりに冷房が効いており、逆に冷え対策が必要なくらいです。

 

 外が暑く気温が高くなればなるほど、室内の冷房が効いた所との温度差が大きくなり、体は急激な体温調節を行うことを強いられます。
体は夏バージョンになって熱を逃がそうと汗腺を開いているところに、寒さもきついところに入ると今度は汗腺を閉じて体温を上げなければならなくなります。これを繰り返していると徐々に自律神経が乱れてきます。また、汗腺を開いている状態で寒い所に行くと寒邪が侵入して冷えにより体調が悪くなります。
激しい気温差にさらされ自律神経が乱れると、低血圧や頭痛、めまい、しびれなどを起こしやすくなります。いわゆる冷房病です。

 

 また、冷房による冷えに対応する為に、筋肉を震わせ熱産生を高めますが、その結果として筋肉疲労がたまり、全身の倦怠感やこむら返り、女性では生理痛がひどくなったり、生理不順になったりします。
更に、汗腺の開け閉めがうまくできなくなり温度調節がうまくいかなくなります。

 

 このようなことから、現代は冷房対策が必要になるのです。
 夏に旬を迎える食べ物は、体の熱を冷ます食べ物が多くなります。西瓜やきゅうり、トマトなどの夏の食べ物は、暑さでほてった体を冷ますと同時に、汗で失われた水分やミネラルを補給する役割があります。しかし、どこに行っても冷房が完備されている現在は、昔の様に熱を冷ます食べ物を摂っていると、体の外からも中からも冷やされてしまいます。

 

 冷房の中で生活している我々現代人は、水分が多く、体の熱を冷ます旬の食材も、温めて食べるといいでしょう。また、生姜やにら、ねぎ、唐辛子などの辛味の薬味をたっぷり添えることも冷え対策です。
冷奴や冷麦、そうめんなど夏に好まれる食べ物ですが、これらは体を冷やします。食べ過ぎると胃腸が冷えて、かえって胃腸の働きが弱まってしまい食欲不振になってしまいます。こんな時にねぎや生姜などの薬味をたっぷり使って胃腸が冷えることを防ぐのです。

 

 寒がりな方や冷え性の方は、公共施設や交通機関で冷えないように上着を持参するなどの対策も併せて行うとより良いと思います。
それでも冷えて体調が今一つという方は、漢方薬の力を借りることもいいのではないでしょうか。


昭和堂薬局 | 2018年7月9日

 

中医学的“がん”とは

 黄帝内経という現存する最も古い医学書に、腫瘍についての記載があり、その病因と病機は正気不足と邪気留着であると記載されています。
現代中医学にも中医腫瘍学があり、がんについての漢方治療の研究が盛んになっているようです。

 

※病因:病の原因
  病機:病の成り立ちや進行の仕方、病のメカニズム
  正気不足:体にとって必要な気血の不足
  邪気留着:体にとって不必要なものの停滞

 

 しかし、西洋医学同様、東洋医学でもがんの治療法は確立されておらず、中国でも伝統医学における先人の知恵と経験を補完療法の一つとして用いられているようです。

 

 中医学では、正気と邪気の闘争が、がんの発生・増殖・浸潤・転移に関係しており、体表または体内に腫瘤が発生します。腫瘤が形成される病機として、痰濁・瘀血・熱毒内結があります。

 

※痰濁:代謝しきれなかった余剰な水分
   瘀血:血液の滞り
   熱毒内結:体内に炎症が存在すること

 

 漢方治療としては、この痰濁・瘀血・熱毒を去邪していくことが、がんそのものの治療ですが、正気の不足ががんの発生につながったのですから、正気を補うことも必要になります。また、西洋医学の治療の副作用によって、不都合が起こっている場合はそれに対応します。

 

 がんは、色々場所(臓器など)、その人の体力、病気の勢いなど個々の状態を把握して対応する必要があります。

 

 また、東洋医学の特徴として、補うという考え方があることだと思います。西洋医学の治療は攻める事をしていきますが、東洋医学では補うことと、攻める事を同時進行していくことが可能で、その割合を加減することもできるのがいいですね。

 

 西洋医学も東洋医学もまだ満足のいく状況ではありませんが、両方の良いところを利用する事で、“少しでも元気でいて欲しい”という願いが叶えられる可能性が有るのではないかと思っています。


昭和堂薬局 | 2018年6月23日

 

“がん”ってどうにかならないの?

 私の母親ががんで亡くなって5年が経ちました。亡くなる少し前、炎症を示すCRPという検査値が驚くような値になり、病院でも為す術が無いといった感じでした。その時点で甲状腺がんの手術から4年半が経過していましたが…
以前から、免疫について色々と調べていたのですが母を亡くして以来、がんについての専門書をよく読むようになりました。

 

 現在、がんの治療は外科的切除、化学療法、放射線療法と最近注目されているがん免疫療法があります。少し前にチェックポイント阻害剤がマスコミでも話題になっていたので、ご存知の方も多いかもしれません。この薬はがんが様々な免疫抑制機構により免疫系からの攻撃を回避しているものの一つをブロックして免疫系ががんを攻撃できるようにしている薬です。これらの薬は画期的でしたし、劇的効果があったようです。ただし、2割ぐらいの人たちにです。また、最近では効果があった人たちにも使っていると耐性ができてしまい効果がなくなることが分かってきました。

 

 また、免疫抑制機構を抑制しがん免疫応答を機能させるために、がん免疫療法とステロイドの併用などの工夫もされてはいますが、もう少し時間が必要なようです。

 

 しかし、実際に効果がある人がいるのですから…
がんの個人差によるものなのか?
その人の生活環境や食生活などによるものなのか?(がんの発生はこのようなことから起こるのでしょうが)

 

 実際にがんはどうなっているのだろう?

 

 がんは、がん細胞だけで病態が規定されているわけではなく、各種免疫細胞も含めて、多様な間質細胞(ガン細胞の周辺のがん細胞以外の細胞)とともに形成されたがん組織ががん病態を形成しています。
腫瘍組織では、がん細胞促進的・免疫抵抗性の微小環境が構築されています。がんの特徴として、免疫学的には、「免疫からの逃避」と「炎症によるがん進展の促進」が挙げられています。

 

 エフェクター細胞(働こうとしている細胞)である腫瘍抗原特異的なCD8+T細胞がその人の体内で誘導され機能するために、がん細胞の障害、がん細胞成分の専門的抗原提示細胞による取り込みと腫瘍抗原特異的なT細胞の活性化、T細胞の腫瘍組織への遊走、腫瘍組織内でのがん細胞の破壊という一連のがん免疫サイクルが作動する必要があります。この一連のサイクルが起こってくれれば、がんを克服できると考えられます。しかし、ほとんどのケースでうまく機能してくれないのです。

 

 がん組織は変化を続け、進化して生き残ったがんのみが増えていきます。この変化に炎症が関係しているのでは?あくまでも私見ですが、炎症を制御できると、「免疫からの逃避」と「がんの進展」が抑制できるのではないかと…
どうすればがん治療の手助けが私たちの立場でできるのか。
東洋医学や食事の面からサポートできることを日々精進していきたいと思います。


昭和堂薬局 | 2018年6月13日

 

意外に無関心な”おりもの”

 読売新聞の医師・小堀先生のブログに
 「妊娠を希望される女性には、膣乾燥に悩む傾向があるという研究があります。そのため、性交用潤滑剤(ローション)を用いている人も少なくないと考えられます。」との書込みがありました。http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=96819
 実際、当店にも膣乾燥が原因で、性交がうまく行えないために体外受精をしていた方が相談に見えたことがありました。当店に子宝相談に来られる方達に”おりもの”については必ず聞いていますが、乾燥して性交ができないということまではあまり問診することがなく、更年期の女性の方以外はそう多くないと思っておりましたが、この記事から察すると意外に多いようですね。
 ”おりもの”は女性ホルモンと関係し、卵胞ホルモン(エストロゲン)によって、卵胞期(生理後から排卵まで)は”おりもの”はサラサラで量も多く、特に排卵前は量も多くアルカリ性になり、受精しやすい環境になります。その後、黄体モルモン(プロゲステロン)により”おりもの”はネバネバになり、精子が通過しにくくなります。
 このことから解るように”おりもの”の異常は女性ホルモンに関係している可能性があり、月経不順など婦人科疾患を患っている方は膣が乾燥している可能性があります。
 また”おりもの”は細菌感染から膣を守る働きもあります。人間の身体で粘膜が存在するところはすべて常在菌で守られています。皆さんがよくご存じなのが腸内細菌ですが、膣もデーデルライン桿菌(乳酸桿菌)で守られています。そのデーデルライン桿菌の作用で通常膣は酸性になっています。しかし、排卵期は精子を死滅させないためにアルカリ性になって妊娠に適した環境になるのです。
 子宝相談に来られる方達も生理や基礎体温の様子はよく把握しているのですが、意外に”おりもの”に関してはあまり把握していない方もいらっしゃいますが、排卵の時期や感染症の有無を現す重要なものなのです。
 ご自身の健康チェックのために”おりもの”も観察してみてください。


昭和堂薬局 | 2014年4月25日

 

魚介類摂取で心臓病・脳卒中のリスク低下

 厚生労働省の研究班(代表・三浦克之滋賀医科大教授)の調査で、魚介類由来の脂肪酸摂取が多い人ほど長期間の循環器疾患死亡リスクが低いことがあきらかになり、欧州動脈硬化学会誌「Atherosclerosis」2 月号に掲載されることになりました。
 発表されたプレスリリースの一部をご紹介します。

 対象者は,無作為抽出された日本全国300 地区の一般住民を対象として1980年に実施された国民栄養調査に参加した30 歳以上の成人男女のうち,脳卒中や心筋梗塞等の既往歴のある者などを除外した9,190 人(男性4,028 人,女性5,162人,平均年齢50.0 歳)で、1980 年から2004 年まで24 年間追跡した。
 24 年の追跡期間中,879 人が循環器疾患(脳卒中または心臓病)で死亡した。魚介類に多く含まれる長鎖n-3 系多価不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)脂肪酸の合計摂取量で4 群に分けたところ,最も少ない群の摂取量は1 日0.42g (さんま1/4 尾程度に相当),最も多い群で1 日1.72g (さんま1 尾弱に相当)) であった。性別,年齢,食塩など他の栄養素摂取量などの交絡因子を調整した循環器疾患死亡リスクは,摂取量の最も少ない群を基準としたところ,最も多い群で20%低く(ハザード比0.80 (95%信頼区間0.66-0.96)),魚介類由来の脂肪酸摂取量が多いほど統計学的に有意に低くなった(傾向性の検定p=0.038)。1980 年時点の年齢で30-59 歳と60 歳以上に分けて分析した結果,30-59 歳の者において魚介類由来脂肪酸摂取量と循環器疾患死亡リスク,脳卒中死亡リスクとの関連をより強く認めた。

 今回のコホート研究では循環器疾患についてですが、糖尿病やがん、アレルギーなどにもこのオメガ3系脂肪酸摂取は関わっています。現在の日本人の食生活は、オメガ3系不飽和脂肪酸と対極にあるオメガ6系不飽和脂肪酸の摂取が多いことが問題にされています。さらに日本ではトランス脂肪酸の規制がなく、このことも体に大きく関係します。特に今の若い年齢層はジャンクフードなどの摂取が多いことで、アレルギーなども多くなっています。
 食事を変えるだけで病気のリスクを改善できるのですから、少し意識してみるといいと思います。
 当店では、食事指導やサプリメントのご紹介をしておりますので、お気軽にご相談ください。


昭和堂薬局 | 2014年2月6日

 

ぜんそく悪化の仕組みが解明

産経新聞に筑波大教授らによって抗生物質の服用によって腸内のバランスが崩れ、ぜんそくが悪化するメカニズムを解明したとの報道がありました。
以下記事抜粋
■新たな治療法開発に期待
 細菌感染症の治療に使われる抗生物質の影響で腸内にカビの一種が増殖し、腸内細菌のバランスが崩れてぜんそくを悪化させるメカニズムを、マウスを使った実験で解明したと筑波大の渋谷彰教授らの研究チームが米科学誌電子版に発表した。
 15日付の米科学誌「セル・ホスト・アンド・マイクローブ」電子版などによると、実験では抗生物質を投与したマウスに原因物質を吸入させてぜんそくを発症させたところ、抗生物質を投与しないマウスと比べて気管支の炎症が悪化した。
 炎症が悪化したマウスの腸管内を調べると、カビの一種「カンジダ」という悪玉菌が増殖する一方で、乳酸菌などの善玉菌が減少。さらに、カンジダの作り出す物質「プロスタグランジンE2」が増加し、ぜんそくを悪化させる様子を確認したという。
 実験では、カンジダの増殖を抑制する薬剤やプロスタグランジンE2を作らないようにする薬剤などを投与すると、マウスのぜんそくの症状が改善されるという結果も得られた。
 渋谷教授は「腸内細菌のバランスが乱れることによってアレルギーが悪化する患者もいると考えている。新しいアレルギー治療が可能になるのではないか」と話し、ぜんそくの新たな治療法の開発につながるとしている。

 これはマウスに抗生物質を投与し、抗生物質が効かない真菌が腸内で増殖したことでぜんそくが悪化する生体反応の詳細が解ったというものです。
 以前より腸内細菌のバランスが崩れることによりぜんそくなどのアレルギーが悪化することは解っていました。抗生物質の投与に限らず、ストレスや食事の乱れなどで腸内細菌は変化します。(多くは善玉菌が減り、腸内環境が悪化した状態になります。)
 これによってアレルギーを誘発したり、アレルギー症状を悪化させたりするのです。今回の発表では、抗真菌剤の投与やプロスタグランジンE2阻害剤、M2マクロファージ活性化阻害剤を投与するなど、新しい発想のアレルギー治療方法になり得ると述べています。
 いろいろな生活環境など腸内環境以外にも様々なことが原因でアレルギーは起こりますが、腸内環境を整えることによりアレルギーが改善することも解っています。新薬に頼るだけでなく、自分でできる予防や緩和方法があることを再確認していただければと思います。


昭和堂薬局 | 2014年1月20日


横浜ポルタ内にある漢方薬局。あなたの健康な体を取り戻すお手伝いを致します。