『昭和堂薬局』

WhatsNew

 

放置するといけない脂肪肝

放置するといけない脂肪肝
 食事で摂った脂肪は、小腸で脂肪酸に分解され肝臓に送られます。
 しかし、糖分や脂質を摂りすぎて、肝臓に送られる脂肪酸が増えると肝臓で脂肪酸から作られる中性脂肪が肝臓にたまります。皮下や内臓に中性脂肪がたまると肥満になりますが、肝臓にたまると脂肪肝になります。
 脂肪肝は年代でいうと30~70歳代に多く、男性では40歳前後、女性では40歳代以降の中高年に多発しています。性別では男性の方が多く発症します。
 以前、脂肪肝は治療対象ではなく、肥満の場合は痩せなさいと言われるくらいで放置されていました。
 最近アルコールや薬物、毒性物質とは関係がなく、肥満や糖尿病、血清中性脂肪値の上昇によって起こる脂肪肝(非アルコール性)であっても病気の基礎に炎症があると線維化が進み、肝硬変への進行があることが分かってきています。
 このような脂肪肝は非アルコール性脂肪肝(NASH -ナッシュと読みます)と呼ばれます。
 NASHは肝臓に脂肪がたまり、細胞は通常、糖から細胞内のミトコンドリアというところでエネルギーを作るのですが、何らかの原因でミトコンドリアが糖ではなく脂肪からエネルギーを作ろうとして、どんどん脂肪を取り込んで巨大になったミトコンドリアはその機能を失い、死んでしまいます。ミトコンドリアが死んでしまうことでエネルギーを作れなくなった細胞も死んでしまいます。その細胞の跡を埋めるために線維化が起こります。線維化が進むと肝硬変になってしまいます。
 NASHにならないために食事は重要です。前回のコラムに書いた油の摂り方や食事のバランス、食べる順番など変えれば体も変われます。


昭和堂薬局 | 2012年1月25日

 

花粉症の季節が近づいてきました。

花粉症の季節が近づいてきました。
 アレルギー疾患や炎症性疾患に対して油(脂肪酸)の摂り方がよく取り沙汰されます。
 ω-3系脂肪酸(αリノレン酸)を多く摂り、ω-6系脂肪酸(リノール酸)を少なくすることはよく知られることで、以前、当コラムにも書いたことがあります。
 ω-6系脂肪酸は炎症やアレルギーを強く引き起こし、ω-3系脂肪酸はそれを抑制します。これは脂肪酸の代謝産物の違いによることが解っています。
 しかし、この脂肪酸の摂り方を変えても(ω-3脂肪酸量とω-6脂肪酸量の摂取比を変えても)アレルギー症状があまり改善できないことがあるという臨床報告を読みました。
 その結論は脂肪酸の摂り方を変えてもトランス脂肪酸を多く摂取していると脂肪酸の代謝を障害してしまい、症状を改善できないというものです。
 人間はω-3系脂肪酸であれω-6系脂肪酸であれ、脂肪酸を自分の体の中で作ることはできません。食べ物から摂取しなくてはならないのです。しかしトランス脂肪酸は体にとって必要な脂肪酸ではありません。
 アメリカやヨーロッパではトランス脂肪酸含有量の規制や表示義務化が実施されていますが、日本においてはトランス脂肪酸平均摂取量が少ないということで、規制や表示の義務はまだありません。確かに動脈硬化を予防するためにはトランス脂肪酸摂取量の多い、少ないが関係あるかもしれませんが、アレルギーは少量のトランス脂肪酸で影響が出てきます。
 私がアトピー性皮膚炎の方の相談を受けていて経験することは、チョコレートや焼き肉を食べた後にアトピー性皮膚炎の症状が悪化することです。
 トランス脂肪酸を含む食品は多くありますが、食べる頻度が高いとその変化に気が付きにくく、焼き肉のように食べる機会が頻繁ではなく、通常、家で食べる量よりも牛肉を多く摂った後の皮膚状態の悪化は目に見えることからよく分かります。
 牛肉の中のトランス脂肪酸の量は少なく、数%に過ぎないのですがアレルギーの悪化がみられるのです。
 このことから考えられることは、アレルギーが毎日食べているトランス脂肪酸で悪化している恐れがということで、アレルギーのある方はこのトランス脂肪酸の摂取量を減らすことで症状の改善が可能であるということです。
 前回のコラムの内容を含め食が体に非常に影響していることがよく分かると思います。
以下にトランス脂肪酸を含むものを上げます。
人工的な操作によって発生したトランス脂肪酸を多く含むもの:
・植物性油脂(不飽和脂肪酸)に人工的に水素を添加して液状の油脂を固化させた硬化油脂(マーガリン、ショートニングなど)
・高温で精製された植物性油脂(大豆油、コーン油、米油、ナタネ油、綿実油、これらを原料として作られた人工油脂など)
・高温の植物性油脂を使って調理した食品(揚げ物、フライ、天ぷらなど)
・植物性油脂を含み高温で調理された食品(スナック菓子、冷凍食品、チョコレート菓子など)
・反すう動物の腸内細菌によって作られ天然に存在するもの:反すう動物(牛、羊など)の肉や乳脂肪


昭和堂薬局 | 2012年1月20日

 

アレルギーはなぜ増えているのか

アトピー性皮膚炎・花粉症を代表とするアレルギー患者の数は、年々増加しているといわれています。厚生労働省の調査でも全国民の3分の1が何らかのアレルギーに悩んでいるとの報告があります。
 最近では、”茶のしずく”という石鹸の小麦アレルギーが問題になりました。年々花粉症で悩んでいる人も非常に多くなっています。
 ではなぜ、アレルギーで悩む人が年々増えているのでしょうか?


その原因については、以下のようなことが考えられています。
1.アレルゲンの増加
アレルギーを起こすアレルゲンの量が昔より増加しています。特にスギ花粉とダニが顕著です。
2.食生活の変化
食生活の欧米化で、アレルゲンとなるたんぱく質の摂取量が増えています。
3.環境汚染
体にアレルゲンが入ってきた際、免疫反応を過剰に強くする触媒のような働きをする物質があります。たとえばディーゼル車の排気ガスや環境ホルモンなどが挙げられます。
4.衛生仮説
衛生仮説とうのは、現代型の生活環境において、細菌や寄生虫の感染症が減ったことでアレルギーが増えたという仮説です。
5.腸内細菌環境の悪化
抗生物質の乱用や日本の伝統食(発酵食品)摂取量の減少などによる腸内細菌の変化。特に善玉菌の減少です。
6.ストレス
ストレスを感じると、交感神経でアドレナリンが多く作られます。それにより免疫のバランスが崩れます。


ではどうすればよいのでしょうか?
 ”茶のしずく”問題の報道を聞いた時、”アレルギーはなぜ増えるか”を考えていると、以前拝聴した小島保彦博士の講演を思い出しました。
 小島博士は生体内インターフェロンを発見した人で、現在は薬としてウイルス性肝炎やがんの治療に使われています。この生体内物質を世界で初めて発見したのです。
 博士は「食はインターフェロンを誘起する」と述べており、博士自身、食に近い漢方生薬の中からインターフェロンを誘起する生薬を探しました。食には薬のような強い作用はありませんが、長い時間をかけて体に影響を及ぼすのです。
 また、薬として体の外からインターフェロンを投与すると大量に使わないと効果がなく、その分副作用も多くなります。しかし自分の体からインターフェロンを誘起させれば副作用も起きません。
 今のアレルギーの薬は症状を抑えているだけでアレルギーを起こらない様にはしていません。この小島博士の指導のもと開発された”4種の植物エキス”を食の改善の一環で使用し、症状がある時には漢方薬を合わせて使うと良いと思います。また、実際の食事も改善する必要があります。インスタント食品、加工食品や油の使用を控えるなどすると良いでしょう。


昭和堂薬局 | 2012年1月12日


横浜ポルタ内にある漢方薬局。あなたの健康な体を取り戻すお手伝いを致します。