ある新聞記事に「カレーを食べるとボケない」という記事が掲載されました。
この記事では、「カレーを食べればボケません。少なくともボケの進行を抑えることはできそうです。そもそもカレーが注目されたのは、インド人のアルツハイマー病の有病率の低さです。米ピッツバーグ大学の研究チームがインドと米ペンシルベニア州に住む高齢者(70~79歳)の有病率を調べたところ、インド人は米国人の1/4しかなかったのです。」と書かれています。これは疫学的データであり正しいかもしれません。
しかし、このあとに「辛口だろうが甘口だろうが関係ありません。ポークカレーやビーフカレーの違いもない。アルツハイマー病に効果があるとされるのは、カレーを黄色くするウコン。そこに含まれるクルクミンなのです。ただウコンには大きく分けて秋ウコン(ターメリック)、春ウコン(キョウオウ)、紫ウコン(ガジュツ)があります。クルクミンの含有量が多いのは秋ウコンで春ウコンは少ない。市販のカレールーを買うなら、成分表にターメリックと書かれたものを選ぶといいでしょう」と述べています。
ここで少し考えてみましょう。インドの人達は確かにカレーを食べていると思います。しかしカレールーを使うのでしょうか?おそらく様々な香辛料からカレーを作っているはずです。カレールーからは作っていないでしょう。市販のカレールーの成分表示を見て下さい。パームオイルと書いてあるはずです。
パームオイルはトランス脂肪酸を含むマーガリンやショートニングの原料として使われています。しかしこのオイルの組成は飽和脂肪酸と一価の不飽和脂肪酸がほとんどで、問題になりそうなω-6系の不飽和脂肪酸は10%程度です。これを見るとそれほど問題にはならないように思いますが、炎症が関わる病気を患っている方が食事により敏感に痛みを感じてしまう場合があり、リウマチの方がカレールーから作ったカレーを食べて痛みが強くなることを経験しています。加工に使われたパームオイルは、炎症を悪化させるトランス脂肪酸が多く含まれているのかもしれません、アルツハイマーは炎症が関係している事が云われており、市販のカレールーから作ったカレーは炎症を悪化させる可能性があります。
この様にたとえ新聞記事であっても記事の内容をしっかり吟味しなくてはならないことが解ると思います。もし、この記事をうのみにしてしまいカレールーから作ったカレーを毎日食べてしまったら、アルツハイマーのリスクが上がってしまう可能性があるのです。
最近はインターネットやSNSが発達し巷には情報が溢れています。私達はこれらの情報に振り回され、そこで言われたものを信じて、その商品を買ってしまいがちです。しかし、その情報をきちんと読み解くとカレールーから作ったカレーを食べるのではなく、カレー粉から作ったカレーを食べるともしかするとアルツハイマーが予防できるかも知れないということなのです。この真実がどこかで歪曲したり、“クルクミン”という単語だけを見てしまうことで、この様なことが起こるのだと思います。
間違った情報に振り回されず、きちんとした真実を知りたいものです。