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「新アレルギー治療~鍵を握る免疫細胞~」NHKスペシャル

 

 

 NHKスペシャル「新アレルギー治療~鍵を握る免疫細胞~」が4月5日に放送されました。

 

 放送では、抑制性の免疫細胞であるTreg(Tレグ)について解説していました。T細胞という免疫細胞はいくつか種類があり、現在はTh1、Th2、Th9、Th17、Th22、Tregなどが解っています。その中で、Tregは、抗原特異的に免疫応答を抑制し、免疫寛容(無害なものに免疫応答しないこと)維持・過剰な免疫応答の抑制に働きます。Treg細胞は胸腺由来のnTreg(natural Treg)と消化管で誘導されるiTreg(induced Treg)があります。消化管では食べ物などに対して免疫寛容をし、人間と共生している腸内細菌を免疫的に無視するように働いていると考えられています。また、消化管においてグラム陰性菌のクロストリジウム属の細菌がTreg細胞を誘導していることがわかってきています。このクロストリジウム属細菌は、土壌中や動物の消化管などに成育している菌です。放送中にありましたアーミッシュの人達が原始的な生活の中で家畜の面倒を見ていることがTregが多かった理由に挙げていますが、家畜や土壌に多く成育するクロストリジウム属菌に多く接している環境だとも考えられます。しかし、現代社会で生きる我々はどうすればいいのだろうか?いきなりクロストリジウム菌を大量に浴びてしまうのは危険です。クロストリジウム属菌の中にはボツリヌス菌という危険な菌もあります。また、現在の日本の除菌ブームは異常に感じます。たしかに、食中毒を考えると、まな板や包丁などは清潔に保った方がいいと思いますが、布団などは消毒液を掛けて殺菌するのではなく日光に当てた方がいいと思います。宣伝にあるような吹き付けるタイプの消毒液は界面活性剤系の消毒液で、吹き付けた後水分が蒸発した状態で高濃度になった、この消毒液が皮膚粘膜に付着することは避けたいものです。

 

 放送中で、ピーナッツオイルが入ったスキンクリームを乳児の時に使っていてアレルギーになったことが紹介されていました。ピーナッツのアレルギーは皮膚でアレルゲンとして認識してしまいピーナッツアレルギーになることは有名です。日本でも「〇〇のしずく」という石鹸で小麦アレルギーになった人が出て話題になりました。その他、セサミオイル(ごま油)を使ってアレルギーになる人もいます。皮膚は本来、外界の刺激から守るバリアになっています。しかし、何らかの原因でこのバリアがうまく働かずに免疫に反応してしまい、それをきっかけにこれらのアレルゲンを含んだ食べ物を食べてしまいアレルギーを起こしてしまうのです。また去年、国立成育医療センターが親や兄弟にアトピーがある乳幼児のスキンケアでアトピー発症が3割減少したと発表しました。この皮膚のバリア機能を保つことでアレルギーを減らすこともできるのです。スキンケアをすることは正解なのですが、使用したものにアレルゲンになり得る成分が入っていたことでアレルギーになってしまったのです。

 

 NHKスペシャルでは、最新治療として花粉症に対する舌下免疫療法が紹介されていました。これは、少しずつ花粉を体内に入れることで激しいアレルギー反応を抑えつつ、花粉専門の制御性T細胞(Tレグ)を増やす治療法です。しかし、スギ花粉に対するアレルギーを抑えることはできる可能性はありますが、他のもののアレルギーに関して効果はありません。また、アレルギーの人は、Treg自体が少ないので、この舌下免疫療法をしても効果のない人もいます。

 

 今、自分の免疫を正常にしていくためには、腸内環境を整えて腸内細菌のバランスをよくし、腸管での免疫応答を正常にしていくことです。そのためには、バランスの良い食事を心がけ、食物繊維や発酵食品をしっかり摂り腸内環境を整えていくことです。また、病気全般に言えることですが、アレルギーや肥満、生活習慣病、自己免疫疾患、ガンなど様々な病気は慢性炎症が関係していることが解ってきています。その慢性炎症を少しでも抑えられる可能性のあるものが、ω-3系脂肪酸です。最近、健康番組でやっているαリノレン酸で亜麻仁油やえごま油に含まれます。現代人は炎症を起こす時に使われるリノール酸を多く摂り過ぎていることも慢性炎症を起こしやすくしているのです。

 

 少しでも食のバランスを考えて、病気が生まれない身体にしたいですね。
 どうしてもという方は、サプリメントなどの代用品もありますのでご相談ください。


昭和堂薬局 | 2015年4月13日


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