東洋医学の考えを生活に取り入れるとどんな利点があるのでしょう。
東洋医学では、私たち人間も自然界の一部と考えます。そして、自然界には季節があり、その中で私たちは生きています。以前に四季の養生法のお話をしましたが、それは主に食べ物の話が中心でした。実際の養生法は気候変化などに合わせて着る物を決めたりすることも含めたものが養生です。
東洋医学の発祥である中国ではこの養生が浸透していて、食はもとより、暑い夏は熱中症予防の漢方薬を飲んだり、インフルエンザが流行る時期には、感染予防の漢方を飲んだりしているようです。しかし、日本では養生という考え方があまり浸透しておらず、病気になって初めて食生活などに気をつけ始める人が多いような気がします。
日本は世界有数の長寿国です。医学が発達して平均寿命は延びましたが、健康寿命はそれほどでもないのが日本です。この健康寿命を延ばすことが養生法ではないかと考えています。(健康食品を取り入れるだけでは、片手落ちですよね)
本来、日本でも東洋医学の知恵を生かした食生活などがありました。しかし、最近では日本の伝統的な知恵は忘れられ、欧米の文化がもてはやされています。また、料理をしないでスーパーやコンビニの総菜やお弁当で済ませているケースもよく聞きます。食材も旬がなくなり、1年中どんな季節の食べ物も手に入ります。本来旬の食べ物はその土地の季節・気候に合った食べ物です。一例を挙げると夏野菜は体を冷やします。それは暑い夏に体が熱を帯びないようにしているのです。これを冬の寒い時期に食べると冷えてしまいます。
最近は、夏の熱中症予防や冬のインフルエンザ予防に漢方を取り入れている方々が増えてきました。体に気を使うことはいいことだと思います。良い意味での中国の影響なのかもしれません。
東洋医学の治療原則において因治制宜(いんちせいぎ)とあり、これは居住する地域・環境の違いを勘考して適切な治療を選ぶこととされています。
中国と異なり日本は島国です。島国には島国の生活習慣や食生活があります。そのことを踏まえ、食事や生活習慣を考えるべきなのでしょう。
健康で長生きするために、食生活や生活習慣を少し気にすると、必ずやっていて良かったと思います。