便秘に関して、メタゲノム解析により腸内細菌叢の情報が集積され、従来言われていた腸内細菌叢の変化とは善玉菌が減少し、悪玉菌(病原菌)が増加するとされていました。
しかし慢性便秘に関する腸内細菌叢の研究が盛んになり、その細菌叢の関与の仕方が大きく変わってきています。
便秘は、国民の30%が悩まされているとされ、インターネット調査では全体の28.4%、男性19.1%、女性37.5%が、自分が便秘であると認識しているようです。
更に、慢性便秘に関するコホート研究では、慢性腎炎、パーキンソン病などの神経難病などが増加し、死亡率が上昇するとの報告もあり、これまで以上に便秘が注目されています。
便秘の人は健康な人に比べ、バクテロイデス門が減り、ファーミキューテス門が増えます。以前言われていた善玉(ビフィズス菌)は変化を認められませんでした。
また、腸の粘液層の細菌叢の変化や大腸で腸内細菌により産生されるガス、食物繊維から作られる短鎖脂肪酸、胆汁酸(一次)が腸内細菌によって代謝された二次胆汁酸により、腸管運動や水分泌などに影響して慢性便秘になっていきます。
現在の日本人の急速な食生活の変化が、腸内細菌叢に影響し慢性便秘増加に関連していると指摘されています。
元々、日本人の腸内細菌叢は世界の国とは異なった特徴的なもので、ビフィドバクテリウム(ビフィズス菌類)が多いことが特徴です。昔の日本人は欧米人と比べ便の量が多かったようです。これらは、日本の食文化が作り上げてきた特徴です。
去年の10月に「慢性便秘症診療ガイドライン」が発行されています。これを見た私個人の意見ですが、自分がもし慢性便秘症だったら、ガイドラインの推奨順位の高いものは反ってやりたくないと思いました。腸内細菌叢を含め腸内環境が体に大きな影響があるだろうことは、いろいろな研究で示されています。便を出すことが最終目的ではなく、健康な体が最終目的であるなら、選択順位が違うのではないかと思います。
慢性便秘を食事だけで簡単に改善できるとは思っていませんが、食事の改善があって初めて薬が活かせるのではないかと思います。
食事の改善やそれを補佐するプロバイオティクスなどから試してみてるのがいいのではないでしょうか。