今年は急激に気温が上昇しており、熱中症で搬送される方が増えているようです。
私たちの身体は気温の上昇に対応するために、汗腺を開いて汗をかき、その汗が蒸発する際の気化熱を放出することで体温を一定に保とうとする働きがあります。
汗をかくことで失われた体内の水分をこまめに補充しましょうというのは、報道等で良くお聞きになると思います。
東洋医学において、汗をかくことは“津液”(しんえき/身体にとって必要な水のようなもの)を失うことであり、この“津液”が“皮毛”(ひもう/汗腺と考えてもよいでしょう)から出ていく際に“気”(エネルギー)も同時に失います。
これが過度な状態になったことを“気陰両虚”(きいんりょうきょ)と呼び、本来であれば熱を冷ますはずの“陰”を失ったことで、熱を冷ますことができなくなった状態です。
この冷ますことができなくなった熱が急激に上昇した場合、意識の混濁等が発生し、いわゆる熱中症の状態となり、熱を冷ませない状態が持続的に継続されたケースが、夏バテを起こした状態といえます。
さらにこの“気陰両虚”の状態を平易な言葉に言い換えると、「汗をかいて疲れた」状態といえます。
このような状態や、こうなる前に服用しておくと良い漢方薬として、“麦味参顆粒”が挙げられます。
麦味参顆粒は、人参・麦門冬・五味子という3つの生薬から構成され、人参は、補気生津(気を補い、津液を生ずる)し、麦門冬は補陰(陰を補う)、五味子は津液や陰を収斂(必要以上に漏れるのを防ぐ)する作用によって、“気陰両虚”の状態を改善してくれる処方です。
この暑い時期に携帯している水筒の水やお茶に混ぜて少しずつ服用しても効果的でしょう。
水分の補給について、暑く喉が渇いたからといって一気にがぶ飲みをしてしまいがちですが、これは胃内の酸性度が一時的に中性に近づくため、胃内の酸性度を元に戻そうと過剰な胃酸分泌を促し、結果として胃壁を荒らしてしまう恐れあります。
水分を摂る際には“ちょこちょこ、ちょいちょい”と飲むのがお勧めです。
(ポルタ店店長 佐藤直哉)