『昭和堂薬局』

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春はメンタルの季節です。

 春めいた日が、少しずつ増えてきました。
 そろそろ春に増える病に備えておきたいですね。
 年間を通して漢方相談で多いものは、不妊などの婦人科疾患、アトピーやニキビなどの皮膚疾患、うつなどのメンタル疾患です。その中でも春に増える相談がメンタル疾患です。

 

 メンタル疾患の訴えの中で「不安」「恐怖(怖い)」という症状がよく聞かれます。これらは情動です。
脳機能の中に情動(感情の一種)の制御があります。ここ数年の研究によって免疫系や腸内細菌叢がその制御に影響を及ぼしていることが明らかになってきました。

 

 感染症や自己免疫疾患、神経変性疾患などの病気では免疫系の活性化と共に心理変化が起こることが知られています。情動に関しても例外でなく、免疫系の活性化する多くの疾患において情動の変化が報告されています。

 

 このメカニズムを簡単に説明すると、腸内細菌が作り出す物質(リポ多糖など)により免疫が活性化し、免疫細胞の分泌する炎症性サイトカインが神経に作用し不安行動を亢進していることが明らかになってきています。これは腸内細菌叢の影響以外でも、他の原因で免疫系が活性化しても起こります。また、活性化した免疫細胞がその細胞内にアミノ酸を取り込み、脳での神経伝達物質濃度が減少して不安や恐怖という情動に影響していることも分かってきています。

 

 以前からコラムでも述べてまいりましたが、病気の大多数に炎症が関係しているのです。メンタル疾患も例外ではないのです。この炎症を起こしやすい環境をつくっているのが食事だと考えられ、食の欧米化や添加物の影響などが炎症を起こしやすい環境をつくっているのです。

 

 漢方相談でメンタル疾患に脾胃(胃腸)経の処方をよく使うのも、この事実からも頷くことができます。


昭和堂薬局 | 2019年2月25日

 

体内時計と不妊

 エジソンの白熱電球の発明によって世界に24時間社会がやってきました。しかしこの発明の前まで人間は長い間、日が沈み眠り、日が昇ると起きるという生活をしてきました。人間は24時間の周期で生活するように出来ているのです。

 

 人は地球上で生きていくために、地球の自転によって作られた環境の変化に順応し生きていく必要があったため、人間の体は体内時計というものを持っています。

 

 中医学最古の医学書といわれている「黄帝内経」には、地球の自転により起こる季節の変化や日照時間の変化などを考慮した養生法を教えてくれています。しかし、現代社会では24時間眠らない社会を支えるため、3交代制勤務などで働く方がおよそ2割いらっしゃいます。

 

 そのシフトワークで働く方たちの健康問題が提起されています。世界中の疫学研究の結果から、睡眠障害や胃腸障害、肥満、糖尿病、高血圧、心血管疾患、悪性腫瘍、うつなど様々な病気のリスクが上昇することがわかってきています。また、生理不順や不妊に対するリスクも判明してきています。

 

 世界で現在行われている24時間社会をやめることは不可能です。では、このシフトワークに従事する人達の健康問題はどうなるのでしょうか。

 

 近年、世界の研究者がサーカディアンリズムを研究し、この問題に取り組んでいます。

 

 実際、我々の薬局に相談に訪れる人の多くは、シフト制勤務や平日と週末の生活リズムの違う方がいらっしゃいます。動物実験などで示されているように、年齢が若いうちはそれほど体に影響は現れないようですが、加齢によって具体的な体調として現れるようになり、女性では生理周期や生殖系の疾患(子宮筋腫や内膜症、多のう胞性卵巣など)が見られるようになります。

 

 それでは、どうすればいいのでしょうか

 

 生活のリズムを変えることが可能であればよいのでしょうが、なかなかそうはいきません。中医学では夜の時間を陰の時間と考えます。そして寝ている時間に陰の構成要素である「血」を作っています。特に陰の性質があり、生理などで血を消耗する女性は、本来この陰の時間に眠り「血」を作る必要があります。

 

 これらのことから、生活リズムが自分の意志に反して不規則の方は、補血の漢方薬を常日頃からの養生として飲んでおくといいかもしれません。(既に体調に変化を来している場合はこれだけでは足りないかもしれません)

 

 妊活で漢方服用している人が、寝る時間を増やす事で妊娠に成功するケースもあるんですよ。


昭和堂薬局 | 2019年2月5日


横浜ポルタ内にある漢方薬局。あなたの健康な体を取り戻すお手伝いを致します。