『昭和堂薬局』

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夏の体のダメージ解消しときましょう

 まだまだ、暑い日が続いていますが、少しずつではありますが朝晩は涼しく感じる日が出てきています。また、8月8日(立秋)から暦の上ではもう秋です。秋は肌の悩みが増えやすい時期です。涼しくなるにつれ、肌のくすみやカサつき、ゴワつきといった不調が気になり始める人も多いのではないでしょうか。

 

 こうした肌トラブルは、夏に受けたダメージが主な原因になります。真夏に浴び続けた強い紫外線、発汗やエアコンによる乾燥といったダメージが肌に蓄積されます。その結果、メラニンが蓄積され、肌の保湿機能やバリア力も低下して、シミやくすみ、カサつきなどが起こりやすくなるのです。

 

 夏に受けた身体のダメージを解消して寒くなって行く季節の準備をしなくてはいけません。

 

 秋は「肺」と関係が深く、肺は皮膚や体毛をコントロールし、肺の異常は空気の出入りする鼻に表れるとされます。また、肺は五臓の中で一番高い場所にあるので、「五臓六腑の蓋」と呼ばれ、気管やのどを通じて外界に直接接しているので、外気の影響を受けやすい臓器です。そのため、秋は大気の乾燥の影響を受け易く、秋に起こりやすい咳、鼻炎、喘息、皮膚のかさつきなどの症状は、乾燥した大気を取り込むことにより肺が乾くことが原因で起こるのです。

 

 一方、外から見えてしまう肌についていうと、肺は肌のバリア力や保湿力、解毒力を支える「気(エネルギー)」の生成や、潤いのもととなる「津液(体に必要な水)」の配る臓でもあります。そのため、乾燥で肺がダメージを受けると、バリア力や保湿力、解毒力が低下し肌の不調を招いてしまうと同時に、呼吸器系も弱くなりやすくなります。これらの力が落ちるとターンオーバーが乱れ、メラニンの代謝が遅れてくすみやシミの要因になります。また、潤い不足や保湿力の低下から、乾燥やかゆみを招くこともあります。

 

 このように、くすみや乾燥といった秋の肌トラブルには、体内の不調も大きく関係しています。スキンケアはもちろん、肺の潤い補給にも気を配り、体の中と外から透明感のある健やか美肌をつくりましょう。
これから冬を迎えると、肌にとってはさらに過酷な環境に。不調を放置すると、乾燥や冷えで肌の老化が加速する心配もあるので、夏の疲れはこの時期にきちんとケアしておきましょう。

 

 秋にとれる旬の食べ物には、「肺・大腸」の働きを補うものがたくさんあります。
そのひとつが梨です。年中見ることの多くなった果物のなかで、梨は店頭にのぼる時期も限られ、旬を感じることのできる数少ない果物のひとつではないでしょうか。最近は収穫が早まり、夏の果物というイメージが強くなりましたが、本来は秋が旬。九月から十一月にかけて収穫されます。水分をたっぷり含み、シャリシャリとみずみずしい梨には、肌に潤いを与え、のどの渇きを止め、声がれや咳を止める効果があります。まさに「燥邪」による秋のトラブルを防ぐのにふさわしい旬の食べ物といえましょう。

 

 同じく秋が旬の果物である柿も、咳を抑え、口の渇きを止め、乾燥による呼吸器系の働きを助けます。「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるように、鼻やのどの粘膜を健やかに保ち、免疫力を高めるビタミンCも豊富に含み、寒さの厳しくなる冬に向けて、風邪をひきにくい体をつくるのに大いに役立ちます。
また、いも類や大根をはじめとする根菜類も「肺・大腸」に働きかける旬の食材です。たとえばさつまいもは口の渇きを止めて肺を潤すと同時に、便通を改善して大腸の働きも活発にします。豊富な食物繊維と緩下作用のあるヤラビンという物質の相乗効果により、腸内環境を整えて便通を促してくれます。

 

 その他、食べ物では、豆腐、豆乳、チーズ、手羽先、豚足、鴨肉、きのこ類、松の実、れんこん、モロヘイヤ、白きくらげ、すっぽん、ゆり根、里芋、長芋、海藻類、卵、梨、柿 など
 生薬では、余甘子(よかんし)、沙棘、西洋人参、紅景天、黄耆、枸杞の実、ツバメの巣、哈士蟆油(はしまゆ)、亀甲(きこう)、鼈甲(べっこう) などがおすすめです。


昭和堂薬局 | 2023年8月26日

 

アレルギーはなぜ起こるのか?

 現在、日本人の2人に1人は、何らかのアレルギー疾患にかかっていると言われています。
 アレルギー疾患の中では、「花粉症」の人に多く出会うのではないでしょうか。その他に「アトピー性皮膚炎」「喘息」「アレルギー性結膜炎」「食物アレルギー」などがあります。

 

 アレルギーは、私たちの体にアレルギーの原因になる物質(アレルゲン)が入ってくることにより起こります。花粉、ほこり、卵、ピーナッツ、甲殻類などがアレルゲンです。これらアレルゲンが体の中に入ってくると、これら異物を排除しようとして免疫機構が働きます。

 

 本来、細菌やウイルス・寄生虫などから身体を守る生体防御機構である「免疫」が、体に害を及ぼすことがない物質や食品に対して免疫反応を起こしてしまうことがアレルギー疾患です。

 

 では、なぜアレルギー疾患が増えているのでしょうか。
 その理由は、はっきりわかっているわけではありませんが、よく言われているのが「衛生仮説」です。現代は衛生環境が急速に改善してきたために、本来、免疫の対象であった細菌やウイルス・寄生虫などに出会うことが少なくなったために、花粉やほこりなどの「アレルゲン」に対して過剰反応を起こしやすくなっているという説です。これには、裏付けとなる論文がいくつかあるようです。

 

 実際、昔は感染症で亡くなることが多かったみたいですよね。天皇家や大名などは世子を残さなければならない立場の人たちは、正室以外に何人も側室がいて、びっくりするような数の子供をもうけて、何とか世子を残して家を維持していたのですよね。薩摩の島津斉彬なんて何人も子供作ってみんな亡くなってしまったようですね。(すべてが感染症ではないようですが…)

 

 私たち人間は、衛生環境の悪い中で何とか生きていくための進化によってできた「免疫機構」です。衛生環境がよくなったのは、この四・五十年のことで、人間の歴史から考えるとほんの少しの期間なのです。肥満に対する「飽食の時代」と同じですね。世の中の急速な変化に人間が対応できないんですね。

 

 しかし、日本人全員がアレルギー疾患ではないわけですから、何とかなります。若ければ若いほど可能性が多くなります。(私のところに来てみてください。)


昭和堂薬局 | 2023年7月29日

 

不妊の中医学的対応

 不妊で悩んでいる人たちは、その方たちの人生のタイミングで幅広い年齢の方が相談にご来店されます。一般的に不妊で悩んでいる方は、夫婦の約3組に1組とも言われています。こうした状況を背景に、現在では不妊治療の保険適用もスタートしています。しかし、保険適応にはいろいろな制限もあり、中々満足のいかないケースもあるようです。

 

 まずは土台となる体質を整えて“妊娠しやすい体づくり”をめざしましょう。

 

 原因は多岐にわたりますが、男女とも加齢によって妊娠の力が低くなることもわかっていて、女性は卵子の老化や子宮疾患のリスク増加、男性は精子の質の低下などがその主な要因となります。
不妊の原因が男女どちらにあるか、その確率はほぼ半々。そのため、“妊娠しやすい体づくり”も2人一緒に取り組むことが大切です。

 

妊娠しやすい体とは?
 中医学では、体内の「気(エネルギー)」「血」「精(生命エネルギーの源)」が充実し、スムーズに巡っている状態が“妊娠しやすい体”と考えます。また、臓では「腎」「肝」「脾(胃腸)」の働きが妊娠と深く関わっています。
・腎:生殖やホルモン分泌と関わり、精を蓄える。
・肝:血を貯蔵し、月経を調整する。気の巡りを整える。
・脾:食事の栄養から気・血を生み出す。

 

 このように、 “妊娠しやすい体”をつくるためには、腎・肝・脾胃の働きを整え、気・血・精を充実させることが基本となります。

 

 中医学では、女性は7年、男性は8年の周期で体に変化が訪れると考えます。これは生殖や成長と関わる「腎」の働きから見たもので、女性は35才、男性は40才を境に腎の衰えが目立ち、妊娠しにくくなると考えます。この年齢の目安は、現在の西洋医学でも同様です。

 

体質別
「気血不足」タイプ
気・血が足りないと、全身のエネルギーや栄養不足、月経の不調などを招いて妊娠しにくい体質に。脾胃を整えてバランス良く栄養を取り、気・血をしっかり養いましょう。

 

「腎虚」タイプ
腎の働きが衰え、卵巣機能、造精機能などが低下して妊娠しにくい状態に。腎は加齢とともに衰えていくので、35才くらいからは特に意識してケアすることが大切です。

 

「気滞」タイプ
過剰なストレスなどで「肝」の働きが落ち、「気」の巡りが停滞しているタイプ。自律神経のバランスが崩れ、ホルモン分泌や排卵・月経周期の乱れを招いて妊娠しにくい体質になります。

 

「瘀血(血行不良)」タイプ
「血」の巡りが悪く、女性は子宮筋腫や子宮内膜症などを招いて着床しにくい状態に。また、男性は血の栄養が十分巡らず、精子の質の低下などを招きます。

 

「痰湿」タイプ
「痰湿(余分な水分や汚れ)」が溜まって脂肪が増え、ホルモンバランスが悪い状態に。また、ベトベトした痰湿が卵管や精路に停滞し、妊娠しにくい体質につながります。

 

妊娠力をアップする暮らしの養生

よく聞くことかもしれませんが、小さなことの積み重ねで、今だけでなく将来の健康のために心掛けていただければと思います。

・暴飲暴食、過度なダイエットなどは避け、バランスの良い食生活を。
・過労や睡眠不足は妊娠力の低下を招きます。しっかり休息、12時前の就寝を意識して。
・生理中は保温第一(特に腰回り)。冷たい飲食や体が冷える服装はNGです。
・適度な運動を習慣に。気血の巡りを促して、ストレス解消にもつながります。
・ストレスは妊娠力アップの大敵。妊活がストレスになっては本末転倒なので、神経質にならずおおらかな気持ちで。


昭和堂薬局 | 2023年7月20日

 

夏に多くなる不眠

 そろそろ、梅雨が明けて本格的に暑い季節になろうとしています。
そんな季節に多くなる症状に不眠があります。暑くて寝苦しいこともありますが、五蔵の理論でいうと、夏は「心」の季節です。

 

 では、東洋医学で夏になるとどんなことが身体で起こるのでしょうか。

 

 夏の暑さが厳しくなり、陽の気が最大になると、この「心」の働きも亢進し、オーバーヒートしやすくなります。

 

 私たちの体は、暑くなると汗を出して、体内の熱を逃がし、上手に体温を調節するようになっています。しかし、汗は同時に、血液中の水分とミネラル分も、一緒に排出してしまうため、血液の濃度は高くなり、ドロドロと流れにくい状態になります。汗をかけばかくほど体温は下がって涼しく感じられますが、一方で心臓は、流れにくい血液を全身に運ぶために、フル活動しているわけです。

 

 この発汗して体温を下げるシステムがうまくいかなくなると、熱中症になってしまいます。
しかし、何とか熱中症は回避しても、「心」がオーバーヒートすると、胸が苦しくなり、脈が早く打つ頻脈になったり、不規則になる不整脈を起こしやすくなります。血液循環も悪くなり、動悸、息切れ、不眠、動脈硬化、ひいては心筋梗塞などの心疾患につながりかねません。

 

 水分補給などで、熱中症や心臓は守れても、動悸、息切れ、不眠などが現れてくるのです。

 

 暑い季節は冷たいものをとったり、クーラーで部屋をガンガンに冷やしたりして身体を過剰に飛躍傾向にありますが、夜眠るためには一度体温を上げる必要があるのです。あえて寝る少し前にお風呂に浸かったり、お腹を温めたりして一度体温を上げると眠りやすくなりますよ。

 

 漢方薬は、重鎮安神薬(竜骨、牡蛎など)、養神安神薬(酸棗仁、遠志など)などを使います。


昭和堂薬局 | 2023年6月30日

 

お知らせーオンライン相談始めましたー

 いつも当店をご愛顧いただきありがとうございます。

 

 私たちの生活様式はコロナ禍前とは変化し、オンラインの積極的な活用が多くの場面でみられるようになりました。

 

 当店でも現在、オンラインによる漢方相談・ネットからの相談予約システムの準備を進めております。

 

 オンラインによる漢方相談は、既に一部のお客様にて実施させていただいております。

 

 オンラインによる漢方相談を希望されるお客様は、当店に電話(045-453-2215)までお問い合わせください。


昭和堂薬局 | 2023年6月21日

 

「生理前に胸が張っるのって普通」と思っていませんか?

 周りの友達がみんなそうだから、私も大丈夫って思ってませんか?特に生理に関してはたまに来るのが楽だからなんて考えてると、いざ子供をつくりたいと思ったときに慌てることになります。生理前に胸があるってことも然りですよ。

 

 月経全症候群は、月経3~10日ぐらい前に精神的・肉体的に様々な症状が現れ、月経がはじまると消える女性の悩みの症状です。イライラしたり、急に悲しくなる、むくみ、過食、便秘など、場合によっては、仕事や日常生活に支障をきたすこともあります。

 

 「肝」は自律神経のバランスや性ホルモンのバランスをコントロールしていますが、実はストレスに影響を受ける臓器なのです。

 

 肝がストレスなどによって上手く働かなくなると、気の流れは悪くなり、性ホルモンのバランスが崩れ、PMSを引き起こしやすくなったり生理不順になったりします。さらに「気」が滞ると、血の流れや水の代謝にも影響を与え、様々な症状となって現れます。


 女性の体は非常にデリケートです。少し歯車が狂ってしまうと大きな不調につながり、ほっておくと後々改善に大変な労力が必要になってしまうこともあるので、早めに対策をしていきましょう。


昭和堂薬局 | 2023年6月3日

 

汗をかく季節になってきました

 段々と蒸し暑く汗をかく季節になってきました。

 

 中医学では汗とはどんなものと考えているのでしょうか?

 

 中医学では、「心は液に在っては汗なり」といわれ、五臓の「心」と関係が深いと考えられています。汗は、津液(体に必要な水)が陽気の作用によって、汗腺から外に出たものと考えます。正常な汗は、体温調節したり、皮膚を潤わせたりします。

 

 汗は暑い時に出ますが、中医学的には、汗と一緒に陽気も外に出すことで、熱を追い出していると考えます。そして適度に熱を追い出して体温調節ができると、陽気は体表面を閉じて汗を止めるのです。
逆に、湿度が高いこの季節では、外湿の影響で汗をかけなくなり、発熱、頭重、身体が重いなどが現れたりします。そんな時は、解表化湿のカッ香正気散という処方を使います。しかし、そうならないためには、日頃から適度な運動や入浴で発汗ができるようにしておきましょう。
熱中症にも注意が必要です。

 

 最初に、中医学的に、汗をかくとは、どんなメカニズムが書きました。津液という体に必要な水を陽気(体のエネルギー)で押し出すことにより起こります。ですから、身体に必要な水と体のエネルギーが奪われてしまうのです。特に、高齢であったり、虚弱体質、大病の後などの方は、エネルギーが少ないので注意が必要です。このエネルギー(気)と体に必要な水を失った状態を、中医学では気陰両虚と言います。気と陰を補う処方は、生脈散です。熱中症の予防に、薄めのスポーツドリンクに溶かして飲むと水分やミネラルも補えるのでいいと思います。

 

 そろそろ、熱中症で搬送されたというニュースが入ってきています。日ごろから予防に努めておくといいですよ。なってしまうと大変ですから…


昭和堂薬局 | 2023年6月1日

 

「生理前に胸が張っるのって普通」と思っていませんか?~PMSについて~

 店頭で漢方相談を受けて思うことは、非常識が常識になってない?と思うことです。例えば、生理不順や不妊症など婦人科疾患の相談で、月経はたまに起こっていれば問題ないとか生理前の不調は普通と考えている人が多いことです。また、胸(乳房部)の張りに至ってはこれが普通と思っている人が大半です。辛くなる前に正しておくといいと思います。

 

 それら生理前の不調を月経前症候群(PMS)と言います。月経全症候群は、月経3~10日ぐらい前に精神的・肉体的に様々な症状が現れ、月経がはじまると消える女性の悩みの症状です。イライラしたり、急に悲しくなる、むくみ、過食、便秘など、場合によっては、仕事や日常生活に支障をきたすこともあります。

 

 中医学的な考え方
 月経周期は女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の変化と深く関係します。中医学では、性ホルモンを支える物質的なものを「精・血」と捉えますが、性ホルモンをバランス良く動かすのは、「女性の先天」と言われる「肝(かん)」の働きです。

 

 「肝」は自律神経のバランスや性ホルモンのバランスをコントロールしていますが、実はストレスに影響を受ける臓器なのです。

 

 肝がストレスなどによって上手く働かなくなると、気の流れは悪くなり、性ホルモンのバランスが崩れ、PMSを引き起こしやすくなるのです。さらに「気」が滞ると、血の流れや水の代謝にも影響を与え、様々な症状となって現れます。

 

 月経が近くなると情緒の変動が大きくなり、急に悲しくて泣き出しそうになる、憂鬱・不安またはイライラ、怒りっぽくなりったりする、胸が張る、乳首が痛い、腹部が張ってガスが溜まりやすい、便秘、頭痛、肩こり、肌荒れ、集中力がない、夜に眠れないなどがあります。

 

 女性の体は非常にデリケートです。少し歯車が狂ってしまうと大きな不調につながり、ほっておくと後々改善に大変な労力が必要になってしまうこともあるので、早めに対策をしていきましょう。


昭和堂薬局 | 2023年4月25日

 

流産したことを自分の責任と思って悩んでいませんか?

 流産は、意外と多くの方が経験しています。妊娠した女性の40%は流産を経験しているという報告もあるようです。当店でも流産後に妊活相談に来られる方多いのですよ。折角授かったのですから、ショックをうけてしまうのはよくわかります。その原因を調べても、半数以上が原因は不明です。また、卵子なのか精子なのかもわからないのですから、自分の責任と思うことはありません。

 

 流産や死産の原因には、受精卵や胎児の染色体異常や、ホルモン異常、血液の固まりやすさ、子宮の形の異常、ストレスなどがあります。
 初期流産で多いのは、染色体異常ではっきりした原因はわかっていません。染色体異常は年齢にかかわらず起こることのようです。本来染色体異常があるとうまく成長できないのですが、たまたま着床してしまうと流産ということになってしまうのです。ですから、動き過ぎたとかお菓子を食べ過ぎた、薬を飲んだからなどは関係ないのです。特に妊娠後は…

 

 流産は妊娠してから原因が発生するのではなく、もっと前から起こったことの結果です。元気な精子や元気な卵子をつくることができれば問題ないのです。

 

 中医学では、「腎」は成長・発育・生殖を主っています。そのことより、流産や不育症は「腎」と関連が深いと考えます。「腎の力」によって卵子や精子、性ホルモンもつくられたり育てられたりしていきます。また、生殖器の老化も「腎の力」を高めておくことにより遅らせることができます。
もう一つ、血の流れも原因になることがあります。血の不足も子宮内膜が十分に厚くならないなどが起こります。

 

 初期流産の後漢方相談に見えた方のほとんどは、問題なく妊娠・出産しています。過去のことは過去のこととして、妊活という目標に向かっていくことができれば、おそらく大丈夫だと思います。妊娠力を高めていく様な対応をしていきましょう。


昭和堂薬局 | 2023年3月30日

 

やすらぎ通信 令和5年 春彼岸号にコラムを投稿しました。

 東洋医学的に見て健康とはどのような状態をいうのでしょうか? それは経絡・臓腑・器官などの働きが正常で、バランスもとれている状態や、気・血・津液(水)・精が過不足なく滞ることなく巡っている状態のことになります。 以前「四季それぞれの養生法」を書きました。春は、発生の季節です。すべてのものが芽生え、天地間の万物は生き生きと栄える季節。この時期の養生法は、日が長くなってくるので、朝早く起きてゆったりと散歩干して、春に芽生えた万物と同じように心身ともに生き生きと発散させることが大切です。今回は四季のリズムではなく、1日のリズムに注目し、東洋医学的に時間と体の関係についてお話しさせていただきます。四季の養生法については成寿45巻をご覧下さい。 中国最古の医学書《黄帝内経》には子午流注(しごりゅうちゅう)という中国伝統医学特有の理論が掲載されています。「子午」は「時刻」の意味で一日24時間を12等分し十二支に対応させています。「流注」は人体の十二臓腑(十二経脈)の気血運行の流れを意味します。つまり子午流注は一日24時間の臓腑気血の運行リズムを現したものです。

 

 ◆時刻に対応する東洋医学的養生法

子の刻(23~1時):胆経が旺盛な時間帯

 胆は消化に直接関わる胆汁を生成、貯蔵、排泄しています。子の刻は胆汁の新陳代謝が最もさかんになる時間帯です。よってこの時間帯に眠りにつくと翌朝の目覚めがよく頭もスッキリです。子の刻は陰気がもっとも盛んで人体の気血陰陽の転換点ですから身体を休めて睡眠をとることは健康を保つ上で非常に大きな意味があります。

 

丑の刻(1~3時):肝経が旺盛な時間帯

 肝は人の思考や活動を支える血液の貯蔵庫です。この時間帯に全身五臓六腑の血が肝に集中し肝の解毒と修復機能が最大限に発揮され古い血は淘汰され新鮮な血が産生されます。 この時間帯に睡眠をとり身体を休めることが肝を養うのに最適なタイミングといえます。この時間帯に活動していると、血は肝に帰ることが出来ずにずっと諸経をめぐっていることになり新鮮な血が生み出されません。

 

寅の刻(3時~5時):肺経が旺盛な時間帯

 肺経は十二経脈気血の運行の源であり、肺は呼吸を司り肝から推し出された新鮮な血を肺気の力で全身に供給します。この時間帯に清浄で新鮮な空気中で呼吸することが肺を養うのに適しています。早起きして窓を開け、新鮮な空気をとり入れて深呼吸をするか、屋外で軽い運動するのがおススメです。

 

卯の刻(5時~7時):大腸経が旺盛な時間帯

 「肺と大腸は表裏の関係」と言われます。肺経から大腸経に流れ込んだエネルギーが大腸を活発にさせます。栄養と水分の吸収が終わり残渣を便として排泄します。この時間帯にしっかり排便すると大腸の排毒作用によって肺や皮膚を清浄に保つことができます。

 

辰の刻(7時~9時):胃経が旺盛な時間帯

 胃経に気血が集中し食物の消化が最も盛んになるため、この時間帯に食事すると充分に栄養を吸収することができます。逆に空腹でいると胃潰瘍や十二指腸潰瘍になりやすいとも言われています。 巳の刻(9時~11時):脾経が旺盛な時間帯 脾は消化、吸収、排泄すべてをコントロールし気血を生み出す源であり、清気を上げ濁気を下げ全身に気血を巡らせます。

 

午の刻(11時~13時):心経が旺盛な時間帯

 心はそのポンプ力で血を全身に送り精神を安定させる働きをもっています。12時は陽の頂点であり心臓は陽臓と呼ばれています。心臓には全身の血液陽気が集まるところですから陰寒の産物である腫瘍はできないのです。

 

未の刻(13時~15時):小腸経が旺盛な時間帯

 小腸は胃から送られてきた消化物をさらに消化し水分栄養の吸収を行い必要な栄養素は脾へ、余剰な水分は膀胱へ集め、食物の残渣は大腸へ送り出します。

 

申の刻(15時~17時)膀胱経が旺盛な時間帯

 膀胱は尿を貯留し排泄する器官で、腎の気化作用によって尿の生成、貯留、排泄が行われています。また排尿によって身体にこもった熱を体外に排出します。

 

酉の刻(17時~19時):腎経が旺盛な時間帯

 「腎は水を司り五臓六腑すべての精を蔵す」と言われ父母から受け継いだ先天の精と食物から得た後天の精を蓄えています。

 

戌の刻(19時~21時):心包経(しんぽうけい)が旺盛な時間帯

 心包は心臓の外周にあり気血を通しながら外邪の進入を防ぎ常に心臓が最適な状態であるよう守っています。

 

亥の刻(21~23時):三焦経(さんしょうけい)が旺盛な時間帯

 三焦(上焦・中焦・下焦)は六腑の中で最大の腑で気血を全身へ隈なく運んでいます。

 

 現代の生活習慣では中々この理論のような生活リズムにすることはできないかもしれませんが、少しでも近づけるように努め健康的な生活リズムにしていきましょう。

 

 現代は24時間社会となり繁華街では夜間も明かりは消えることがない程です。それに伴い、警察・消防や医療福祉関連に勤務する方々や、工場、コンビニなどの交代制勤務者が、眠らない街で働いています。日本では交代制勤務の労働者は、全体の20%位と言われています。 夜間に勤務することは、人間が本来持っている「体内時計」・「概日(がいじつ)リズム」という生命機能に影響を与えていると考えられます。また交代制勤務による夜間労働だけでなく、パイロットや客室乗務員などの時差による概日リズムへの影響もあり、近年、そのことが健康にどのように影響するのか疫学的な研究が盛んになっています。

 

交代制勤務による健康影響

*睡眠障害 *胃腸障害 *肥満・脂質異常症・高血圧・糖尿病・メタボリックシンドローム *月経の乱れ・月経痛・不妊 *流産・早産・低体重児出産 *循環器疾患(心筋梗塞・脳卒中) *悪性腫瘍(乳がん・前立腺がん)

 

 横浜駅にある当店でも交代制勤務や時差勤務による体調不良の相談が多くございます。仕事に際して仕方ないことは当然あると思いますが、子午流注(しごりゅうちゅう)の理論も意識して健康に気を付けていただけるといいのではないでしょうか。


昭和堂薬局 | 2023年3月15日


横浜ポルタ内にある漢方薬局。あなたの健康な体を取り戻すお手伝いを致します。