『昭和堂薬局』

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生体バリア2 ~各上皮細胞の働き~

 前回のコラムでは腸上皮細胞は6種類の細胞からできているとお話ししました。その上皮細胞は、生体バリアシステム構築のため、細胞間接着が強固になっていて上皮細胞シートが構築されています。その上皮細胞シートが強く結びついていることによって、容易に外からの異物を内に入れないようになっているのです。

 

 では、6種類の細胞の解っている働きを簡単にご説明します。
(吸収上皮細胞・胚細胞・パネート細胞・タフト細胞・M細胞・腸内分泌細胞)

 

 吸収上皮細胞は、その名の通り栄養素の吸収が主な役割です。一方で吸収上皮細胞は腸管上皮細胞の中で一番多い細胞で、防御機能も備わっていて、後でお話しするパネート細胞ほどではないのですが抗菌ペプチドを産生し、免疫細胞を活性化するサイトカインを産生しています。

 

 胚細胞はムチンを産生することで粘液層を形成し、腸管上皮細胞に微生物が接着しないようにしています。(次回、もう一度、ご説明します。)


 パネート細胞は、抗菌ペプチドを大量生産することで細菌感染に対する生体防御に貢献しています。また、パネート細胞は、腸陰窩部に存在する腸管上皮幹細胞ニッシュ(微小環境)の維持にも必要な細胞です。


 タフト細胞は、存在自体は以前より認識されていたのですがその役割はまだわかっていません。しかし、昨年(2016年)に2型自然リンパ球という免疫細胞を活性化するサイトカイン(IL-25)を供給していることが明らかとなりました。

 

  M細胞はパイエル板をはじめとする腸管関連リンパ組織を覆う上皮細胞層に分布し、微生物などの抗原を捕捉し免疫細胞にすみやかに受け渡すことで、抗原特異的な免疫応答を惹起しています。


 腸内分泌細胞は、生体バリアに直接関係していませんが、消化管ホルモンなどを分泌して健康維持に貢献しています。

 

 簡単に説明しましたが、これらのシステムが非常に重要で、細胞間接着が弱まってしまったり、腸管上皮幹細胞から6種の上皮細胞が適正に分化せず、極端にどれかの細胞が少なくなってしまうと我々の体の存在すら危ぶまれてしまいます。
腸上皮細胞は3~4日のサイクルで入れ替わると言われています。食事による食物繊維や細菌が刺激になり、これら上皮細胞は正常に分化し、正常に機能するのです。


昭和堂薬局 | 2017年7月3日

 

生体バリア ~生体バリアを支える腸上皮細胞~

 私たちの体は筒状になっており、それを覆う体表面は外側が皮膚そして内側が粘膜で構成されています。そして、その皮膚や粘膜は外からの異物や病原体から身を守る防御機構を備えています。皮膚や粘膜の上皮細胞は、物理・科学的バリアであり、免疫と連動して生体防護に関わっています。また、この生体バリアは外敵から身を守るだけでなく、そこで共存している微生物との共生関係を構築しています。その共生関係が壊れることにより、様々な疾患とのかかわりが報告されています。

 

 腸管上皮細胞は、食事などと共に侵入してくる細菌やウイルスなどによる感染から身を守るためのバリア機能を備えています。強固な細胞間接着によって形成されるタイトジャンクションは微生物の細胞間の通過をブロックし、腸管上皮を構成する各種腸管上皮細胞はそれらの様々な機能によって生体防御をしています。また、腸管上皮細胞は外来生物を認識する受容体を持ち、抗菌ペプチドやサイトカインの産生を誘導し、免疫細胞にも作用することにより生体防御に貢献しています。

 

 腸管上皮細胞には、吸収上皮細胞、胚細胞、パネート細胞、M細胞、タフト細胞、腸内分泌細胞の計6種類の分布が確認されています。これらの細胞は腸陰窩部に分布する腸上皮幹細胞から分化します。

 

 少し難しくなってしまいましたが、以上の様に腸上皮細胞は非常に重要な場所です。この生体バリアを正常に機能するようにしていかないと疾患が起きやすい状態になります。この腸内環境を維持し上皮細胞がうまく働くようにするために私たちができることは食事と生活習慣です。食事はお腹を満たせればいいものではないんですよ。


昭和堂薬局 | 2017年6月19日

 

食事と加齢が腸内環境に影響する

 過去のコラムでも腸内細菌の重要性はお話しさせていただいておりました。テレビや雑誌などでも話題になっており、ご存知の方も多いかと思います。

 

 世界的にも腸内環境の研究は注目されており、腸内細菌叢は炎症性腸炎や大腸がん、過敏性腸症候群などの腸疾患にとどまらず、肥満や糖尿病、動脈硬化、腎疾患、喘息、アレルギー、精神疾患など様々な病気と関係していることがわかってきました。
人の腸内細菌は、生活環境や食生活などで日々変化します。腸内細菌叢は、指紋の様に人それぞれです。その中でも大きな変動要因となるのは食生活と加齢であると言われていますが、抗生物質の服用も多大な影響を与える要因になります。また、ストレス社会と呼ばれる現代においては、そのストレスも腸内細菌の変動要因になります。

 

 腸内細菌叢のバランスに影響を与える要因が数多く報告されている中で、特に影響すると思われるものが「食生活」です。一般的には高脂肪・高たんぱく質食が良くなく、高食物繊維・低脂肪で構成される伝統的な食事がいいとされています。これを裏付ける報告も多数存在します。

 

 最近は、日本でも肉類の摂取量は増加の一途をたどっており、腸内環境への影響が危惧されています。また、時間に追われる現代人は、手軽で簡単に食べられるものを選ぶ機会も多く、それが肥満やアレルギーの多い現代を象徴しているのかもしれません。

 

 ではどうすれば良いのでしょうか。
 肉食を摂取した際のヨーグルト摂取が腸内細菌叢にどのような影響を与えるかを調べた研究がありました。それによると肉食期間中からヨーグルトを摂取した人達は、肉食期間後ヨーグルトを摂取する又はヨーグルトを摂取しない人達に比べ、善玉菌の減少が抑えられ、炎症を誘導する菌の増殖を抑えることができたそうです。

 

 また、「加齢」による腸内細菌の変化も1970年代から言われていましたが、実際に詳しく調べることが出来るようになったのはつい最近です。そこで、健康な日本人の疫学調査では、高齢になると腸管のバリア機能を低下させ炎症を誘発する菌が増え、抗炎症に働く善玉菌の減少が認められました。また、年齢は70歳代後半と90歳前後で大きく変化していたそうです。

 

 これらのことからも、健康を維持することの一つに、腸内細菌叢のバランスを悪くしないことが挙げられます。上述したヨーグルトの研究も一つの方法でしょうが、東洋医学的な養生では、冷える行為はよくないとされています。特に年をとると尚更で、「年寄りの冷や水」という言葉があるくらいです。お腹を冷やさないで腸内細菌叢を維持できると理想的ですね。


昭和堂薬局 | 2017年5月18日

 

ちょっとしたことで、生活習慣病予防を

 近年、腸内細菌解析技術の進歩により腸内細菌研究が盛んになました。その結果、腸内細菌叢の変化が代謝や栄養摂取、免疫機能に影響し、肥満や糖尿病などの代謝異常の直接的な原因となることがわかってきました。

 2006年に、腸内細菌叢の変化が肥満を起こすことが示されて以来、腸内細菌叢が肥満や糖尿病などの代謝性疾患と関係することが多くの研究報告で示されました。例としては、ヨーロッパや中国で行われた糖尿病疫学研究では、糖尿病患者の腸内細菌は、酪酸産生クロストリジウム属の割合が低く、非酪酸産生クロストリジウム属の割合が高いことが明らかになりました。

 また、インスリン抵抗性の原因となる細菌の特定が試みられ、インスリン抵抗性を示す人は血清中にリポ多糖と分枝アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)が上昇しており、それに伴って分枝アミノ酸合成酵素を含有する腸内細菌の分枝アミノ酸合成活性が亢進していました。さらに、動物実験ではありますが、高脂肪食と一緒に分枝アミノ酸合成酵素を有する腸内細菌を投与すると、血清分枝アミノ酸の上昇と共にインスリン抵抗性の誘導、耐糖能の悪化が現れました。

 このことは、腸内細菌叢のバランス異常により誘導された変化が、糖尿病発症と密接な関係があることを示しています。一方で、高繊維食・低脂肪食摂取で、糖代謝が改善し、同時に分枝アミノ酸合成酵素を有する菌が減少していました。

 以上のことから、腸内細菌叢のバランスを保つことが、肥満や糖尿病の予防になることはおわかりいただけると思います。食事の改善や腸内環境を良くするような健康食品などを利用するといいかと思います。

 

 この他、腸内細菌叢と肥満・糖尿病関連はいろいろなことがわかってきていますが、難しい話となってきますので、今回はここまでにさせていただきます。


昭和堂薬局 | 2017年3月11日

 

ヤセ菌とデブ菌

「年末年始のイベントなどで食べ過ぎて太っちゃったけど痩せられない」という人が多いのではないでしょうか

最近の研究で、腸内細菌叢の変化が宿主である私達のエネルギー調節や栄養の摂取、免疫機能等に影響し、肥満や糖尿病などの代謝異常と密接な関係があることが明らかになってきました。(以前もコラムでお話ししていますが…)

皆さんご存知のように、過度の食事が肥満へとつながります。そして、体の見えない部分では、腸内細菌叢が変化していたのです。その変化が更に太りやすくしているのです。

健康番組などでも紹介されているので、ご存知の方は多いと思いますが、「デブ菌」はファーミキューテス(Firmicuties)門に属する菌です。「ヤセ菌」はバクテロイデス(Bacteroides)門です。ファーミキューテス門には200近い属がありますので、菌の種類は莫大な数にもぼるので、どの辺の菌が肥満に関係しているのかはわかっていませんが、ファーミキューテス門の菌が太ると増え、痩せると減ることは事実です。

一般的に腸内環境をよくするには、「ヨーグルトを毎日食べよう」と健康番組などでは言われています。でも、ヨーグルトに含まれる菌の中に以外に、ファーミキューテス門に属する菌があるんですよ。これらの菌が我々の腸の中で肥満の加勢をしているかはわかりませんが…

また、ヨーグルトは体を冷やしますから、冷え性で代謝が落ちている人には、益々太る方向に行ってします可能性もあります。

日本人には、麹菌や酵母菌、納豆菌などの昔ながらに日本人が摂ってきた菌が、体に合っているのかもしれません。

体にいいと思って毎日食べていたものが、もしかしたら逆効果?
意外な落とし穴に要注意ですね。


昭和堂薬局 | 2017年2月3日

 

テレビで取り上げられた「腸内環境」が話題ですね!

文書

 

 先月、腸内環境についての話題がテレビで取り上げられていました。

 腸管は、腸内細菌や口を通じて外界のいろいろな細菌に曝されています。腸管内には数百種類以上でおよそ100兆個もの腸内細菌が棲息しています。その腸内細菌の集合を腸内細菌叢と呼びます。これらは食べ物や消化液などにより、その構成が変化します。また腸内細菌叢の構成や腸内発酵によりつくられた代謝産物が、腸管上皮細胞や免疫細胞、神経細胞、内分泌細胞に作用することで生体機能全体に影響を与え、それが再び腸内細菌叢の構成に影響しています。通常それが複雑な腸内生態系の絶妙なバランスのもと、恒常性を維持しています。外界からのストレスや老化などの多少のバランスの崩れはもとに戻す頑健性を持っていますが、過度のストレスなどの外的要素などでその恒常性が破錠すると、腸管防御能が低下したり、炎症性腸炎や大腸がんといった腸管関連疾患を発症したり、肥満や糖尿病などの代謝性疾患の発症に影響をおよぼしたりします。

 

 ヒトの腸内細菌は、食習慣で3つのタイプに分かれます。「肉食系」はBacteroidesタイプ、「草食系」はPrevotellaタイプ、「雑食系」はRuminococcusタイプになり、日本人は、もともと食物繊維の摂取量が多いのでPrevotellaタイプになります。しかし、今の日本は食の欧米化で食環境が変わってきています。それに伴い欧米の人に多かった大腸がんが増えてきています。

 

 腸内細菌叢は遺伝的素因も関係していて、双子を調べた実験では、Christensenellaceaeという細菌類の存在量が二卵性双生児より一卵性双生児で似ていて、その量が少ないほど太っていたそうです。「その子の将来は親を見ろ」といいますが、そういうことなんですね。

 

 繰り返しになりますが、環境要素のうち食習慣が腸内環境と密接に関わっています。日本では近年、食の欧米化で大腸がんが増えていますが、食事内容と大腸がんの関連を示す研究報告があります。アフリカ系アメリカ人の大腸がん発症率は、南アフリカ農村部に住むアフリカ人の大腸がん発症率と比較すると10倍以上高いことが知られており、両者の食習慣は大きく異なっています。アフリカ系アメリカ人は高動物性タンパク質、高脂肪、低食物繊維の典型的な欧米食で、南アフリカ農村部のアフリカ人は逆に高食物繊維、低脂肪の食習慣だった、彼らの食事を2週間逆にして腸内環境を見ると、農村部の食事をしたアフリカ系アメリカ人では腸内で糖質の代謝発酵が促進し、制御性T細胞の分化を誘導する短鎖脂肪酸の産生が増加しました。また、腸管の炎症マーカーも低下し、さらに大腸がんの発症にかかわる二次胆汁酸も低下していました。一方でアフリカ人が欧米食を摂取すると、これらがすべて悪い方に変化していました。このことから、食環境が腸内環境に影響することがわかります。

 このように、欧米人の腸内細菌叢は、原始的な生活をしている人々の腸内細菌叢と比べて多様性が低下していることが知られていますが、マウスの実験で高脂肪・低繊維食の摂食は腸内細菌叢の多様性の低下を招きますが、同一世代ではその後高繊維食を摂食すると腸内細菌叢の多様性が回復しましたが、世帯を超えて高脂肪・低繊維食を摂食すると、その後高繊維食を摂食しても多様性は回復しませんでした。これは、動物実験ではありますが、日本人の食の欧米化に対する注意喚起とも言えます。

 

 食物繊維は腸内環境を良くすることはお話しました。では、知らず知らずのうちに腸内環境を悪くする物にどんな物があるのでしょうか。

 

 最近、報告されている物に食品添加物があります。食品添加物は人の健康を損なわない、国が安全性を認めた物ですが、その中に腸内細菌叢に悪影響することがわかってきたものがあります。その一つに人工甘味料があります。人工甘味料は消化管から吸収されずに大腸に届き、腸内細菌叢の変化を招き、その結果耐糖能の悪化を招くことがわかってきました。また、食品添加物の一種である乳化剤についても動物実験レベルではあるものの、乳化剤の摂取は腸内細菌叢の変化を招き大腸炎の発症を促し、肥満や血糖値の上昇といったメタボリック症候群を引き起こすことが明らかになっています。

 

 腸内細菌叢が我々の身体に大きな影響をおよぼしていることは明らかです。その腸内細菌叢に影響をおよぼすものは食事です。食を改善し腸内細菌叢を良い状態にすることが健康維持には大きく関係しています。


昭和堂薬局 | 2016年4月22日

 

「新アレルギー治療~鍵を握る免疫細胞~」NHKスペシャル

 

 

 NHKスペシャル「新アレルギー治療~鍵を握る免疫細胞~」が4月5日に放送されました。

 

 放送では、抑制性の免疫細胞であるTreg(Tレグ)について解説していました。T細胞という免疫細胞はいくつか種類があり、現在はTh1、Th2、Th9、Th17、Th22、Tregなどが解っています。その中で、Tregは、抗原特異的に免疫応答を抑制し、免疫寛容(無害なものに免疫応答しないこと)維持・過剰な免疫応答の抑制に働きます。Treg細胞は胸腺由来のnTreg(natural Treg)と消化管で誘導されるiTreg(induced Treg)があります。消化管では食べ物などに対して免疫寛容をし、人間と共生している腸内細菌を免疫的に無視するように働いていると考えられています。また、消化管においてグラム陰性菌のクロストリジウム属の細菌がTreg細胞を誘導していることがわかってきています。このクロストリジウム属細菌は、土壌中や動物の消化管などに成育している菌です。放送中にありましたアーミッシュの人達が原始的な生活の中で家畜の面倒を見ていることがTregが多かった理由に挙げていますが、家畜や土壌に多く成育するクロストリジウム属菌に多く接している環境だとも考えられます。しかし、現代社会で生きる我々はどうすればいいのだろうか?いきなりクロストリジウム菌を大量に浴びてしまうのは危険です。クロストリジウム属菌の中にはボツリヌス菌という危険な菌もあります。また、現在の日本の除菌ブームは異常に感じます。たしかに、食中毒を考えると、まな板や包丁などは清潔に保った方がいいと思いますが、布団などは消毒液を掛けて殺菌するのではなく日光に当てた方がいいと思います。宣伝にあるような吹き付けるタイプの消毒液は界面活性剤系の消毒液で、吹き付けた後水分が蒸発した状態で高濃度になった、この消毒液が皮膚粘膜に付着することは避けたいものです。

 

 放送中で、ピーナッツオイルが入ったスキンクリームを乳児の時に使っていてアレルギーになったことが紹介されていました。ピーナッツのアレルギーは皮膚でアレルゲンとして認識してしまいピーナッツアレルギーになることは有名です。日本でも「〇〇のしずく」という石鹸で小麦アレルギーになった人が出て話題になりました。その他、セサミオイル(ごま油)を使ってアレルギーになる人もいます。皮膚は本来、外界の刺激から守るバリアになっています。しかし、何らかの原因でこのバリアがうまく働かずに免疫に反応してしまい、それをきっかけにこれらのアレルゲンを含んだ食べ物を食べてしまいアレルギーを起こしてしまうのです。また去年、国立成育医療センターが親や兄弟にアトピーがある乳幼児のスキンケアでアトピー発症が3割減少したと発表しました。この皮膚のバリア機能を保つことでアレルギーを減らすこともできるのです。スキンケアをすることは正解なのですが、使用したものにアレルゲンになり得る成分が入っていたことでアレルギーになってしまったのです。

 

 NHKスペシャルでは、最新治療として花粉症に対する舌下免疫療法が紹介されていました。これは、少しずつ花粉を体内に入れることで激しいアレルギー反応を抑えつつ、花粉専門の制御性T細胞(Tレグ)を増やす治療法です。しかし、スギ花粉に対するアレルギーを抑えることはできる可能性はありますが、他のもののアレルギーに関して効果はありません。また、アレルギーの人は、Treg自体が少ないので、この舌下免疫療法をしても効果のない人もいます。

 

 今、自分の免疫を正常にしていくためには、腸内環境を整えて腸内細菌のバランスをよくし、腸管での免疫応答を正常にしていくことです。そのためには、バランスの良い食事を心がけ、食物繊維や発酵食品をしっかり摂り腸内環境を整えていくことです。また、病気全般に言えることですが、アレルギーや肥満、生活習慣病、自己免疫疾患、ガンなど様々な病気は慢性炎症が関係していることが解ってきています。その慢性炎症を少しでも抑えられる可能性のあるものが、ω-3系脂肪酸です。最近、健康番組でやっているαリノレン酸で亜麻仁油やえごま油に含まれます。現代人は炎症を起こす時に使われるリノール酸を多く摂り過ぎていることも慢性炎症を起こしやすくしているのです。

 

 少しでも食のバランスを考えて、病気が生まれない身体にしたいですね。
 どうしてもという方は、サプリメントなどの代用品もありますのでご相談ください。


昭和堂薬局 | 2015年4月13日

 

「NHKスペシャル」で“腸内フローラ 解明!驚異の細菌パワー”が放送された!

 

文書

月22日の「NHKスペシャル」で“腸内フローラ 解明!驚異の細菌パワー”が放送されました。

 

 近年、腸内細菌の解析技術が飛躍的に進歩し、多くの病気との関係が解ってきています。この番組でも、肥満、糖尿病、がん、皮膚のシワや腸が脳を支配しているなど腸内細菌と病気の関係を放送していました。しかし番組の中で、肥満に対して良い働きをする短鎖脂肪酸を腸内細菌が出すと表現していましたが、短鎖脂肪酸は食物繊維を原料として腸内細菌が作り出すものです。同じ様にエクオールというシワにいい成分を腸内細菌が出すと言っていますが、これは大豆イソフラボンから腸内細菌によって作り出されるもので、決して何もないところから腸内細菌が吐き出しているものではないのです。これらを作り出す菌が腸内にいても食物繊維を摂らない人には短鎖脂肪酸はできませんし、大豆製品を食べない人にはエクオールはできないのです。

 

 最近の研究でどんな細菌が何をしているかまでは解ってきていますが、その菌をどうやって増やすのかが解明されておらず、1000兆個あるといわれている他の菌とのバランスの問題もあります。

 放送で紹介されているように健康な人の腸内細菌を移植すればいいじゃないかと思うかもしれませんが、そのことによってどんなことが起こるか分かりません。こうしたことから、治すことが出来ない難病に試験的に試されているのです。

 

 少し否定的なことを言ってきましたが、実際に腸内細菌が非常に重要なことは事実なのです。では、どうしたらいいのか?今私たちができることは、食物繊維や発酵食品をしっかり摂るなどバランスのいい食生活です。その食生活が腸内細菌のバランスを良くしてくれるのです。

 

 すぐに成果は出ないかもしれませんが、少しずつ体は変化していきます。少し食生活を見直してみましょう。

食生活はなかなか変えるのが難しい方はご相談ください。


昭和堂薬局 | 2015年3月4日

 

小学生低学年の1割が便秘 学校の和式トイレも影響?

 最近、便秘の子供が多くなっているようです。子供は腸内細菌の善玉が多く、腸の環境は良いことが一般的と考えられています。しかし、最近は便秘の子供が多くなっているといわれ始めました。
 実際に小学校低学年児童の1割が、3日以上排便がない便秘傾向にあることが、NPO法人「日本トイレ研究所」と王子ネピアの調査でわかりました。
 その報道の中で、トイレの大切さを学ぶ出前授業「うんち教室」に参加した首都圏の小学校1~3年生599人に聞き取りを行い、「3日以上うんちが出ない日が続く」と答えたのは70人(11・7%)。その内訳は「3日」が45人、「4日」が20人、「5日」が5人。「毎日出る」は215人(35・9%)だったようです。
 便秘傾向の背景には、学校のトイレに行きたがらないということがあるようで、都内の小学生97人に「学校のトイレでうんちをするか」と聞いたところ、22人が「しない」と回答。しない理由は、「和式だから」「落ち着かないから」「休み時間が短いから」などの理由が挙げられたようです。
 最近感じていたのは、子供が便秘傾向だとお母さんも便秘の方が多いことです。子供は、お母さんのお腹に居るときは無菌の状態で、出産時、産道を通るときに初めてお母さんの持っている常在菌に触れ、その後生まれた場所にある菌に触れ、母乳を飲んでいるうちに乳酸菌などの善玉菌が増え始め、その子供の腸内細菌が決まっていきます。そのため子供の便は、大人の便の様な匂いがしないのです。
 腸内細菌の環境が悪くなると、アレルギーになってしまったり、便秘、腸の感染症にかかりやすくなります。少し前の神戸の小学校や静岡で下痢、嘔吐の集団感染症が起こりましたが、今回の「日本トイレ協会」が発表したことと無関係ではないかもしれません。また、この便秘傾向の子供のアレルギーの有無なども調べてみると関係があるかもしれません。
 学校でうんちを我慢することや食の乱れで、便通がいいはずの子供たちの腸内環境が悪くなって便秘傾向になっているのであれば、将来が少し心配です。
 早い段階で腸内環境を整えておきましょう。お気軽にご相談ください。


昭和堂薬局 | 2014年5月21日

 

肥満、第3の要因に「腸内細菌の変化」

 産経新聞電子版に、「肥満やメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を引き起こす大きな環境要因に食べ過ぎや運動不足が挙げられる。3つ目の環境要因として、膨大な腸内細菌の集まりである腸内細菌叢(そう)が関係していることが、ゲノム(全遺伝情報)解析が進んだことで明らかになってきた。専門家は健全な腸内細菌叢を保つには欧米型の食事ではなく、伝統的な和食が良いと推奨している。」という記事が掲載されました。
 この記事によれば、昨年9月、米科学誌『サイエンス』に掲載された米ワシントン大のグループの研究論文に着目した。同論文によると、片方が肥満、もう片方が痩せ形の双子4組を選び出し、腸内細菌が大量に含まれるそれぞれの便を無菌のマウスの腸内に移植。すると、太った人の便を移植したマウスは太り、痩せ形の人の便を移植したマウスは太らなかったという。同論文から春日氏は「細菌叢の差違は肥満の結果もたらされたのではなく、肥満を引き起こす原因だったことが示された」と強調する。と言っています。
 以前このコラムでも書いていますが、高カロリーや高脂肪食により腸内細菌が変化し、食べ物の吸収率が高くなることが解ってきています。
 腸には約1千種、重さにすると1㎏の細菌が存在しています。この細菌と共存することで我々の身体は免疫などのバランスを保っています。また、私たち人間の身体では消化できないもの、特に食物繊維などは腸内細菌が消化の手助けをしています。日本人は伝統的な日本食を食べていた時代は、欧米人よりも多く排便をしていたといわれています。そのことから、米国などは日本食を積極的に取り入れています。そして、現在では日本人より多くの食物繊維を摂取するようになりました。
 しかし、逆に日本では、伝統的な食ではない欧米型の食に変化したことで肥満が増えています。産経新聞の記事にあるように「和食」を取り入れて腸内環境を変えることが肥満解決の重要な要素になります。
 当店ではダイエット相談をお受けしていますので、ご相談ください。
記事詳細http://sankei.jp.msn.com/life/news/140506/bdy14050610000003-n1.htm


昭和堂薬局 | 2014年5月12日


横浜ポルタ内にある漢方薬局。あなたの健康な体を取り戻すお手伝いを致します。