『昭和堂薬局』

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飲み物の話

私が、店頭で病気の相談を多くしていて思うことは、食べるものや飲むものを気を付けていたらこの人は病気にならなかったのではないかということです。
 逆に言うと、病気の人に漢方薬をいくら飲んでもらっても食事を改善しないと治らなかったり、漢方を飲んでいるときは良くても飲まなくなると元に戻る人が多くいるのです。
 コラムでも食のことを言ってきましたが、西日本新聞で子どもにも分かる様な食育の連載記事を見つけましたので紹介します。
 今回は、飲み物についてで2回分をご紹介します。子供に分かるようになっているので漢字があまり使われていないため読みにくいかもしれませんが…


【第1回】ジュースの話
 はじめまして。西日本新聞で「食卓の向こう側」という連載記事を書いているおじさん(さとうひろし)と、おねえさん(わたなべみほ)です。このコーナーでは、身の回りにある食べ物についていろいろ考えてみようと思います。
 小学校4年生にわかるように書くつもりだけど、ちょっとむずかしいところもあるかもしれません。そのときは、おとうさんやおかあさんに聞いてね。
 1回目は、みんなが大好きなジュースの話。
 これからどんどん暑くなっていくけど、のどがかわいたときに飲むジュースはおいしいよねえ。でも、おかあさんは、「ごはんをたくさん食べなさい」って言うように、「ジュースを飲め飲め」って言うかい? 言わないよね。
 なんでだろう? お金がかかるから?
 それもあるかもしれないけど、本当は、君たちの体のことを考えているからなんだ。
 では、問題です。きみがのんでいる甘いジュースがはいったペットボトル(500ミリリットル)のなかには、どれぐらいお砂糖がふくまれていると思う?
 わからない?
 よし、じゃあ、手を出してごらん。
 おじさんが持ってるこのスティックシュガー(1ふくろが3グラム)を1本ずつ、君の手のひらにおいていくよ。
 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10本。
 いま、何グラムになった?
 そう、3グラムが10本だから30グラムだね。よくできました。
 まだいくよ~。
 11、12、13、14、15、16、17本。
 はい、そうです。答えは17本。甘いジュースの場合、そのペットボトルの量のだいたい10分の1がお砂糖の量なんです。
 思ったより、たくさんはいっていたでしょう?
 はい、じゃあ、大きく口を開けて。このスティックシュガーを全部口の中に入れてあげるから・・。
 ハハハ、じょうだん、じょうだん。
 でも、ふしぎだよね。お砂糖そのままだったら、とても食べられないけど、なんで、ジュースになると、こんなにお砂糖が飲めるんだろうね?
 それは、冷たさ。冷たさが、甘~いと感じる感覚をにぶくしてしまうんだ。だから、こんなに甘くても、ごくごく飲めてしまう。もし、これが温かかったら、べたべた甘くて、とても飲めたもんじゃない。
 では、またまた問題。
 こんなにお砂糖がはいっているジュースを、のどがかわいたからといって、ごはんの前や、ごはんを食べているときに飲んでいたら、どうなると思う
?  そうだね。甘いおかしをごはんの前に食べるのと同じで、もうそれだけでおなかがいっぱいになってしまうよね。
 そうすると、かんじんのごはんが食べられなくなるから、栄養も足りなくなって、病気にかかりやすくなる。元気もでないし、身長も伸びない。あんまり、いいことはなさそうだ。
 そんなのいやだよね。だから、君たちも飲む量や、いつ飲むかとか、そのあたりを考えてから飲んだほうがいいと思うよ。
 おじさんは、決してジュースをのんじゃ、ダメとは言わない。毎日じゃなくて、たまにならいいさ。がぶ飲みしなければね。ただ、おいしいから、ついつい飲みすぎてしまう。そこを注意してほしいって、言っているだけなんだ。
 だから、ふつうに飲むときは、お茶か水がおすすめさ。
 なに? ぼくはスポーツ飲料だからだいじょうぶって?
 ちょっと、待ったー。それも結局は同じこと。なぜかはまた、次の回で、話してあげるね。
【今回の教訓】
 おいしいからって、飲みすぎちゃだめ。なんでも、ほどほどが大切です。
【おうちの人へ】
 実際にスティックシュガーとペットボトルを用意して、子どもの手に持たせてやってみたら、効果的です。また、ペットボトルにどれくらい砂糖が含まれるかを知る方法は、次の回でお教えしますね。

【第2回】スポーツドリンクの話
 はーい、こんにちは。またまた、さとうのおじさんです。
 さて、きょうは、スポーツドリンク(イオン飲料)の話でしたね。
 テレビのコマーシャルを見てると、スポーツ選手とか、タレントさんがスポーツドリンクをごくごく飲んたり、おじいさんがてつぼうでぐるぐる回ってたりするのがあるよね。
 でも、おじさんが、こそっと、Jリーグに所属するサッカー選手と、マラソン選手に聞いたら、スポーツドリンクは決してそのままでは飲まずに、3倍に薄めて飲んでるんだって。
 なんでだろ?。
 理由は、やっぱり、その甘さなんだ。
 例えば、みんながよく知っているあるスポーツ飲料には、6.7%の砂糖が入っている。つまり、1回目でやったスティックシュガー(3グラム)でいえば、500ミリリットルの中に、11本分はいっている。
 だから、スポーツ選手はそのまま飲むと、のどのかわきをいやすというより、逆にのどがかわいてしようがないし、体がうけつけないとも言ってたな。
 なんで、おじさんには、砂糖の量がわかるかって?
 その答えは商品の裏側に印刷されているラベルにある。
 栄養成分表示って、ところを見てみて。100ミリリットル当たりの成分が書いてあるでしょう。
 手元にある商品を見ると、エネルギーが27キロカロリー、タンパク質・脂質0グラム(入っていない、ってことだね)、炭水化物6.7グラムなんていう数字が並んでいる。果汁が入ってたりすると、少し変わってくるけど、この炭水化物ってのが、だいたいお砂糖の量と思っていいんだ。だから、100ミリリットルに6.7グラムなら、500ミリリットルのペットボトルには、その5倍。つまり、33.5グラム分のお砂糖が入っていることになる。
   × ×
 スポーツ飲料については、すごい話を聞いたなあ。
 ある日、おじさんは知り合いの歯医者さんから、「これ、見てー」って、ある3歳児の写真を見せられた。ふつう、3歳児の歯といえば、まるで宝石のような白い歯をしているんだけど、その子の場合は、江戸時代の女の人がしていたおはぐろみたいに真っ黒。
 おじさん「先生、これどうしたんですか」
 歯医者さん「お母さんがね、水がわりに、スポーツ飲料を飲ませていたのよ」
 おじさん「また、どうして、そんなことしたんでしょうか」
 歯医者さん「お母さんはこう言ってたわ。『だってセンセー、水って栄養ないでしょ』って」
 おじさんは、この話を聞いたととき、これは虐待(ぎゃくたい)だって思った。子どもをなぐったりする体罰(たいばつ)や、心を傷つける言葉の暴力も悪いけど、おとなの無知識が原因で、子どもを虫歯だらけにしてしまう。これって、やっぱり、いけないことだと、おじさんは思ったんだ。
 では、なんで、虫歯になりやすいんだろう?
 それは、スポーツドリンクをほにゅうびんで飲ませる場合に特に多い。赤ちゃんをよく見てごらん。あかちゃんは、お母さんのおっぱいを飲んでるときが、いちばん安心するんだ。だから、おっぱいに吸いついたまま、ねむってしまうこともある。じゃあ、あまいスポーツ飲料が入ったほにゅうびんを口にふくんだまま、寝てしまったら・・。起きていたときに出ていただ液が止まって、虫歯になりやすくなる。
 こうしたげんしょうを歯医者さんは「ボトルカリエス」という。ボトルはびん、カリエスは虫歯のことさ。
  × ×
 ここからは、特に注意して聞いてほしいんだけど、おじさんは、決してこうした飲み物をこうげきしているわけではない。おじさんも甘いものはほしくなるときもあるし、甘いから悪いとは思わない。ただ、飲みすぎがいけないって、言っているだけなんだ。
 スポーツドリンクも同じで、決して”毒”じゃない。かぜをひいたときなんか、お医者さんが飲みなさいって言うしね。おじさんも、それは、決してまちがいじゃないと思う。
 でも、それはあくまで病気したときだろ。普通のときに、水代わりに飲むのはすすめないなあ。のどが渇いたら、水かお茶。これが基本だと思うよ。
 自分の体は自分で守る。「宇宙船地球号」ということばを使った科学者のバックミンスター・フラーさんはこう言っている。「もろもろの汚染の中で、もっともしんこくなのは、消費者の頭の中の汚染である」ってね。
【今回の教訓】
 スポーツドリンクを水代わりに飲んじゃいけません。のどがかわいたら水かお茶。これが基本です。
【おうちの人へ】
 ラベルの見方、分かりましたか。これも、実際に手にとってチェックしてください。それから、ここでいう糖分は、サトウキビやテンサイから作った砂糖のほか、コーンスターチなどを異性化させて作ったブドウ糖果糖液糖というのもあります。いずれも純度が高く、人体への吸収が早いので、ここではわかりやすく「砂糖」と言っています。

 これを読んで、びっくりした方も多いのではないでしょうか。
 これだけの糖をしかもすぐに吸収できる形で摂ると、急激に血糖値が上昇してしまい、この急激な変化に体が反応して対処しているのです。体にとってはものすごいストレスなのです。
 毎日何本も飲んでいたら…
 キレる子どもの原因はペットボトルや缶ジュース(コーヒーなども)にあると言われていますし、糖尿病などの原因にもなります。ましてや毎日何本も買っていたら、お金も掛かります。お茶を水筒に入れて持って行くのが流行っていますが(私は流行る前からやっていました)良いことだと思います。
 知らず知らずの良くない習慣を直して自分の体をいじめるのをやめにしましょう。


昭和堂薬局 | 2010年10月7日


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