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受精 ~卵子から見た受精~

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 生殖細胞は男性の場合は性成熟後も増殖、分裂が継続しますが、女性の場合は胎児期で終了してしまいます。これが、男性は高齢になっても生殖能力があるのに対し女性は生殖期間に限りがある所以です。女性の生殖細胞は、お母さんのお腹の中にいるときが一番多く、約600万個存在しています。その後、生まれた時には300万個になります。減数分裂(染色体が半分になる分裂)は第1減数分裂前期で停止しています。そして、生殖細胞(卵母細胞)は性成熟期(子供が作れる時期)には2万個に減少し、成熟して排卵に至る生殖細胞は400個程度と言われています。周期にもよりますが30年から40年間排卵することになります。45から55歳くらいまで排卵するということです。

 

 性成熟期の卵巣では、卵胞の発育は、原始卵胞から始まります。性腺刺激ホルモンの制御を受けるようになると発育を開始した卵胞(1次卵胞)はさらに発育し、顆粒膜細胞の増殖と第1卵母細胞の容積の増加が起こります(2次卵胞)。この時期の卵胞の発育には顆粒膜細胞と卵母細胞が互いに増殖調整因子を分泌する機構が存在します。さらに発育が進むと卵胞内に、卵胞液の貯留が起こります(胞状卵胞)。生理的には通常、最も発育の早い主席卵胞のみがグラーフ卵胞(成熟卵胞)となり、脳下垂体からの一過性のホルモン刺激であるLHサージ(黄体形成ホルモンが一過性に放出される現象)に反応して、LHサージ開始から36~42時間後に排卵が起こります。

 

 一方、LHサージを受けると、胎児期から休止していた第1減数分裂が再開します。形態的には卵核胞が消失し、減数分裂は完了します。このとき分離する染色体の組み合わせにより遺伝子の多様性は増加します。第1卵母細胞は第1極体(減数分裂により排除された核)を放出し、第2卵母細胞となります。細胞内に残った染色体は直ちに第2減数分裂中期に入り、細胞は卵子となります。ここで第2減数分裂は再び休止し、精子の進入によって再開します。排卵および精子進入は第2減数分裂中期に起こりますが、正常な発生に至るためには精子の進入は排卵後12時間以内に起こる必要があるとされています。このことから、卵子の寿命は12時間くらいということになります。

 

 排卵は、卵子とその周囲に護衛艦のように卵丘細胞や細胞問マトリックス(細胞間に存在する分子構造)からなります。また、卵子の周囲には透明帯と呼ばれる細胞外マトリックスが存在し、受精において重要な役割を担っていて、多精子受精を防いでいます。

 

 精子が卵子細胞膜と融合すると卵子の第2減数分裂が再開し、染色体は分離します。これによって、卵子から子孫に受け継がれる染色体の組合せが決定します。半数の染色体は第2極体として囲卵腔に放出され、卵子側に残った半数の染色体は前核となります。前核形成は卵子内の細胞質因子により制御されるので、精子の前核形成と同時に起こります。2前核期は約12時間継続し、精子、卵子の前核はDNAの複製に伴い容積を増しながら細胞の中心部に移行し融合します。次に前核の融合により4倍体となった染色体は直ちに分離し、第1卵割を経て2細胞期胚となります。

 

 この様にして受精は成立します。受精は単純に卵子の中に精子が入ることなんですが、非常に複雑なシステムで成り立っていたのです。
 この複雑で、神秘的なシステムがストレスや食べ物の影響を受けるわけですから、実際に妊娠に適した状態はそれほど多くないんです。だから、生活習慣や食生活が重要になっていくんですね。


昭和堂薬局 | 2015年3月30日


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