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東洋医学的女性の生理

 前回お話ししたように、東洋医学における婦人科には長い歴史に培われた理論があります。
西洋医学的教育を受けてきた我々には理解しにくい点もあるのですが、2,000年前の書物に書かれてあることが今なお受け継がれ、理論として成立しています。

 

 下の文章が「黄帝内経」上古天真論に書かれた女性の生理です。
「女子は7歳になると腎気が盛んになり、歯が生え変わって髪が長くなる。14歳になると天癸が至り、任脈が通じ、太衝脈が盛んになり月経が下るようになる。そのため子どもをつくることができる。-中略― 49歳になると任脈が虚し、太衝脈が衰え、天癸が竭き、月経が停止する。そのため子どもをつくれなくなる。」

 

 14歳ごろ初潮が来て、49歳ごろ閉経するとありますが、現代もほとんど変わりません。食事や環境の変化はありますが、私達の体は2,000年前とほぼ変わっていないのです。

 

 以上のことから月経は、天癸(てんき)・臓腑・気血・経絡が協調して子宮に作用することにより生じる現象です。これら天癸・臓腑・気血・経絡の関係が崩れるとうまく月経が起きませんし、子供もできにくくなります。

 

 天癸とは、男女を問わず人体の成長・発育・生殖に影響する精の一種です。

 

 経絡は、情報伝達ルートとなり人体の各組織・器官を結び付けており、同時に気血の運行に関与して、全身を栄養します。その中で、女性と密接な関係があるのは奇形八脈の衝脈・任脈・督脈・帯脈であり、主にその生理機能は気血の運行に対して蓄積と溢出の調節を行うことです。その中で任・衝脈は婦人科疾患に特に重要であると言われています。衝脈の衝には要衝の意味があり、臓腑経絡の血すべてが帰り、十二経絡の要衝としての役割を果たしています。また、衝脈は経絡の海であることから「血海」と呼ばれ、月経は血によって機能するため、衝脈が盛んであれば月経は正常に行われます。任脈の任には任(妊)養、担任の意味があります。任脈は全身の陰脈を妊養するとともに、女性の妊娠機能に関与しています。

 

 少しわかりづらい東洋医学用語が多く出てきてしまいましたが、体は繋がっているため、各々の組織・器官が正常に働くことが重要ですが、特に天癸(精)が充分に満ちていて、妊衝脈が機能していることで、女性の月経・妊娠・出産のコントロールができるのです。


昭和堂薬局 | 2017年10月2日


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