鼻茸とは、鼻の奥にある副鼻腔の粘膜にできる膨らみのことです。粘膜にキノコが生えるように見えることから「鼻ポリープ」とも呼ばれています。
鼻茸は、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)やぜんそく(気管支喘息)、アレルギー性鼻炎などと併発します。粘膜が炎症を起こし、そこに腫瘤ができ、進行してどんどん大きくなることで鼻茸になっていきます。
鼻茸が小さいサイズであれば自覚症状が出てこないでしょうが、大きくなると鼻の穴の空気の通り道をふさいでしまい、鼻呼吸がしにくくなります。
呼吸がしにくくなれば、気になって集中力が欠けやすくなり、日常生活に影響が出てくるようであれば、病院で手術をしてとることもできますが再発しやすいです。再発がみられる場合は再手術になることもあります。
鼻茸の治療では、鼻茸の多くはアレルギーが原因で引き起こされるため、治療にはアレルギーを抑えるためのステロイド剤の点鼻薬や内服薬が用いられます。また、副鼻腔炎などの炎症による病気が原因の場合には、それらを改善するための抗生物質や炎症を鎮める作用のある薬が使用されます。
しかし、これらの薬物療法はうまくいかないことも多く、重症な場合には薬のみで治すことは困難です。このため。手術などで鼻茸を切除する治療が必要になることも少なくありません。
そこで、漢方薬の出番です。
鼻という場所は、「肺」に属しています。合併しているおおもとの病気(副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など)に対する漢方薬は、東洋医学の尺度でそれがどうして起こってしまったのかを検討して処方を決定していくのですが、鼻茸は、元も病気によって鼻粘膜の炎症が「鼻ポリープ」になっています。鼻茸だけを東洋医学で表現すると、血や湿の滞りでできたものです。血の滞りでできたものを「瘀血」と呼び、湿の滞りで起きたものを「痰湿」と呼びます。
漢方の対応としては、元の病気に対する処方と「瘀血」を取りはぶく活血薬の併用です。但し、一般的な活血薬では中々対応できない場合は、破血剤(水蛭など)が必要になります。