『昭和堂薬局』

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ドラッグストアやお医者さんで処方されて飲んでいる方が多い半夏厚朴湯

 我々漢方薬局でも使うことはよくあります。しかし、漢方薬の中でも、やや対症療法的な要素があるのかなぁと思う処方です。

 

 では、どんな時に使うのでしょうか。

 梅核気(ばいかくき)がこの処方の目標です。梅核気とは、咽喉中に何かが詰まったようで、排出もできず、呑むこともできない状態です。(俗に言う「えへん虫」ですね)
どんなことが原因で、梅核気が起こるのでしょう。

 

 処方解説によると、「七情が不暢で肝気が鬱結して疏泄が失調し、気機が停滞し、肺気、胃気が宣降できなくなり、津液の布散が障害されて痰を形成し、痰と滞気が結びついて咽喉で結するため、咽に梗塞感があり嚥下しても喀出してもとれない梅核気が生じる。肺気が宣粛できないので胸苦しい、咳嗽、喘鳴などが、胃気が和降しないので悪心、嘔吐、腹満がみられ、七情不暢による憂鬱、抑鬱などを伴う。」
難しい文章ですが、要はストレスなどで五臓の「肝」がうまく働くなり、気や水を巡らすことが出来ずに、喉のところで気がうっ滞してそこに痰が形成されて起こります。

 半夏厚朴湯は、このうっ滞した気を巡らせ、胃の気を上から下に正常な気の運行にして、痰を取りはぶく方剤です。起こったことを元の状態に戻す方剤なのです。

 

 ここまでお話しすると、ピンとくる方も多いと思います。最初にお話しした、ストレスなどによる「肝」をうまく働かせる方剤が含まれていないのです。(そのことが対症療法的と言ったのです。)その原因の方剤を加えたもので有名な物が、柴朴湯という方剤です。

 

 また、胃腸の不調が関係することがあります。この場合、「肝」系の薬ではよくならないケースです。梅核気以外の症状を考慮して方剤を変えたり、加えたりするといいと思います。

 

 半夏厚朴湯で調子はいいけどやめられない方や半夏厚朴湯では効果がなかった方は、原因を改善するような方剤と組み合わせてみては、いかがでしょうか。


昭和堂薬局 | 2022年5月25日


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