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妊娠の不思議 その2

 科学や画像解析、遺伝子検査などの技術が発達した現在でも、人間の身体はわかっていないことが多くあります。特に生殖系に関しては人権や倫理の問題もあり、よくわかっていないことが多いのです。そこで今回も妊娠の不思議についてお話ししてまいります。

 

 最近、腸内細菌と病気の関係が、様々なところで報告されています。その中でも妊娠・出産による腸内細菌叢の変化について、現在言われていることをお話ししたいと思います。

 

 一般的に、腸内細菌叢の構成異常により微弱な炎症(慢性炎症)が発生、この慢性炎症により体重増加をきたし糖尿病などのリスクが増大していきます。
 しかし、この腸内細菌叢の構成異常が正常な妊婦さんでも起こっていることがわかってきました。妊婦さんにとっての腸内細菌の変化は必要なことであり、正常な妊娠経過や胎児の成長に貢献していると考えられています。

 

 このような妊娠という環境の変化に加え、妊娠中の食事(高脂肪食など)や抗菌剤・抗生物質の使用により母体や胎児の腸内細菌叢がさらに変化することで、炎症が関係する流産や早産の原因になったり、生まれてくる子供の免疫機能にも影響を及ぼし、アレルギーをはじめとする各種の疾患を併発する可能性があります。

 

 これらの結果から、妊婦さんや妊娠を希望している方々は、食事のバランスに気を付けて腸内環境を良い状態を保っている必要があります。自閉症と妊娠時の母体の腸内細菌叢についての報告もされているようです。
 食事のバランスをとる心がけは必要で、特に高脂肪食は腸内細菌叢の構成に乱れを起こすと考えられています。
 わからないことが多い人間の身体です。できることから始めていきましょう。


昭和堂薬局 | 2018年4月26日

 

妊娠の不思議

 妊娠については、謎が多いものの、妊娠についての構造や基本的な発達段階はわかってきています。受精から1週間以内に「栄養膜細胞」という特殊な細胞が胚の表面に現れます。この細胞が胚の存在を母体に知らせ、子宮壁に穴を開け、子宮に入り込みます。子宮に入り込んだ後、この栄養膜細胞は急速に分裂し、放射状に突起を伸ばしていきます。その後、栄養膜細胞から構成される「細胞性栄養膜」の上に融合した細胞層(合胞体性栄養膜)が重なり、これが胎盤の表面になります。胎盤は最終的に、分岐構造によって子宮にくっついた円盤状になります。これらの分岐は受精後2~3週間で支持細胞と血管によって満たされ始め、その後成熟して絨毛膜絨毛と呼ばれる構造になります。

 

 妊娠が順調に進むかどうかは、母体と胎児の境界部分の活動にかかっています。この境界部分が母体から胎児へ酸素、栄養、体液を供給しますが、それが適切に発達して機能するには、胎盤の細胞と子宮、更に母体の免疫系の協調が必要です。

 

 胎盤の発達と機能の詳細はまだ不明な部分が多くあります。大きな謎は、何が分娩を引き起こすのかという疑問です。分娩の時期が来ると休止状態にあった子宮筋が、大きな力で収縮して赤ちゃんと胎盤を押し出します。その時までしっかり子宮とその血管にしっかり結合していた胎盤がどのようにして分離するのだろうか?また、胎盤は通常病原体や毒素をブロックしているのに、いくつかのウイルスや炎症性物質は胎盤を通過し、胎児に達し異常を引き起こすのだろうか?

 

 まだまだ、不思議なことが多い妊娠ではありますが、もしかすると、母体の環境が大きく関係している可能性もあります。妊娠前から、血流を良くしておくこと、腸内環境を良くしておくこと、食生活などは見直しておくことが必要なのでしょうね。


昭和堂薬局 | 2018年4月9日

 

最近発売された週刊誌の見出しの「ガン克服 あと10年で」に目が止まった。

 最近発売された週刊誌の見出しの「ガン克服 あと10年で」に目が止まった。
 確かに最先端医療の事が書かれており、もしかすると期待できるのかもしれない。わたし自身、専門医学書を読んでいて、あと10年ぐらいでもしかすると…と思っていたので納得する部分もあります。しかし、この雑誌の中で、ガン診療経験のある500人以上の医師にアンケートした結果が載っており、進行度4期のガンでは半数近くの医師が、ガンそのものの治療ではなく、苦痛を軽減してくれる緩和ケアを選択すると言っています。ガン治療の現状はまだまだという事なのですね。

 

 ひとくちにガンと言っても、色々なものがある事は分かっています。(ガン細胞も生き残ろうとしていろいろな形に変化するのです)ですから、そのタイプによって色々な治療法がなければいけないのです。できる場所も違えば、タイプも色々です。本当に克服できるのでしょうか?
現在、難治性のものから、比較的軽いものまで、いろいろな病気があります。
では、今どのくらいの病気が治るようになったのでしょうか?

 

 例えば糖尿病、昔は糖尿病で亡くなる人は大勢いました。今はそれほど怖い病気ではなくなったと言われていますが、それでも亡くなる人はいますし、糖尿病は無くなっていません。それは糖尿病が治る病気になったと言っていいのでしょうか?

 

 雑誌の中でも、ガンを遠ざける生活の話が出ています。食生活の見直しや嗜好品を止めるまたは節制する、運動、体重管理でガンのリスクが減ると言っています。おそらく、これらは病気になりにくい生活習慣でガンに限ったことではないように思います。

 

 人間の体は、まだまだ分かっていない事だらけです。先端医療はかなり高額で、未知の副作用などもあるかもしれません。そこに期待するのではなく、バランスのとれた生活こそが病気克服の早道なのでしょうね。

 

 体のバランスというと東洋医学の基本的な考え方です。体のバランスと整える東洋医学をとれ入れたりするのもいいかもしれませんね。
東洋医学と言ってもいろいろです。漢方や鍼灸、太極拳なんかも良いのでは…


昭和堂薬局 | 2018年2月26日

 

一つの栄養素だけで病気は防げるの?

 17日にNHKの「ためしてガッテン」で葉酸を取り上げていました。葉酸摂取で動脈硬化や認知症を防げると…
番組関係者はそうは思ってないかもしれませんが、番組を見た方々はそう感じたのではないでしょうか?
もし、葉酸だけで認知症は予防できるなら葉酸が薬になっているのでは?

 

 認知症、特にアルツハイマー病の進行を食い止める治療薬は、未だ見つかっていません。
この30年で200種類以上の治験が失敗に終わっています。全世界で脳の研究者たちは、新薬がなくても生活習慣を改善したり、血管系のリスク要因を改善出来れば予防ができるのではないかと臨床試験に取り組んでいます。しかし、生活習慣などは不確定要素が多く因果関係を導き出すのは難しいため、根拠が充分得られないために、より困難な「ランダム化比較試験」を行うことで因果関係を探りました。そして、少しずつですが、結果が出始めています。

 

 以前は、アルツハイマー病は脳の病変(老人斑と神経原線維変化)が引き起こすとされ、それを取りのぞく治療薬の研究がされていました。
しかしランダム化比較試験が進み、参加者の認知機能と脳の解剖所見に相関関係がなかったのです。(老人斑と神経原線維変化が多くあっても認知症と診断されない人たちがいたのです。)

 

 では、老人斑や神経原線維化が進んでも認知機能に差が出てアルツハイマー病と診断される人と認知機能が衰えない人がいるのはなぜなのでしょうか?

 

 その答えはまだはっきりとは解っていませんが、生活習慣や食生活に差があることは解ってきています。フィンランドで行われた大規模ランダム化比較試験では、介入群は「食事(地中海式料理を食べる)」と「運動(筋力トレーニングと有酸素運動)」、「認知トレーニング」、「健康観察と管理」が行われています。これは、生活習慣病予防と知的活動が認知症を防ぐ可能性があるという観点で行われました。

 

 このランダム化比較試験で介入群は、対照群に比べ認知力が優位に向上していました。このような疫学研究が世界各地で行われています。そして結果も出てきているようです。これらの結果からも、何か一つだけを改善するのではなく、健康で知的な生活こそが認知症の予防であり、延いては病気全般を防ぎ、健康な生活を送れるということを意味しているのではないでしょうか。


昭和堂薬局 | 2018年1月31日

 

漢方療法推進会中医不妊特別セミナーの終了証を頂きました。

 

 去る12月10日に第6回中医不妊特別セミナーが開催されました。講師で中医師の周軍先生より、修了証書を頂いてきました。今年の2月から6回シリーズで不妊症に対する漢方薬の使い方から養生や周先生の症例などを丁寧にお話ししていただきました。

 

 私自身はこれまで多くの子宝に恵まれない方たちのご相談を受けてきたので、自分では十分知識があると思っていたのですが、新しい発見も多く改めてまだまだ未熟なことを実感しました。

 

 その後、最後ということもあり懇親会が開かれ、たまたま周先生の前の席に座らせてもらい懇親会でも不妊症以外にもがんの対応など、皆さんが日ごろ対応に苦労している質問に丁寧に答えているお話を聞くことができ、大変有意義でした。

 

 このような気さくな先生が身近にいらっしゃることは大変ありがたく幸せなことだと思っております。周先生ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。


昭和堂薬局 | 2017年12月13日

 

子宝のための中医学的養生法

 現代のライフサイクルの変化に伴い、子づくりをする年齢が遅くなるなどによって苦労されているご夫婦に出会います。食の変化やライフスタイルの変化による過剰なダイエット、夜更かしなど、そこまでにしてきたことやもしかするとご本人だけでなく、その親御さんの若いころの生活環境も影響している可能性があります。
しかし、過去をあれこれ言っても始まりませんので、これからどんなことをしていくといいのかを東洋医学的に考えてみたいと思います。

 

 東洋医学的に生殖を主る臓腑は「腎」です。この「腎」の力が旺盛であれば妊娠しやすいのですが、腎の力は28歳ごろをピークに衰えていきます。また、この「腎」の力は個人差が大きく、もって生まれたものや成長過程での生活環境なども影響します。

 

 その他には「肝」や「脾」が関係することが多くあり、血液の流れなども影響があります。前回のコラムで生理時の養生について書きましたが、月経期などに寒邪が入り込んで冷えてしまうこともあるかもしれません。

 

 まずは、生殖に大きくかかわってくる「腎」の養生法についてお話ししたいと思います。
「腎」の五季は「冬」でこれからの季節は「腎」の季節です。寒さも厳しくなる季節ですので冷えてしまうと腎の機能が衰えてしまいますので暖かくしておく必要があります。また、偏食や睡眠不足も腎の力を弱くする可能性があります。

 

 

 

 腎を助ける食べ物としては、鹹味(塩辛い味)です。塩辛いと言っても精製塩の塩化ナトリウムではなく、ミネラル豊富な天然塩です。天然塩には苦汁が入り、苦味は腎と対極にある心を助ける味です。また、お節料理は新年を祝う日本の伝統料理ですが、腎を補う食材がふんだんに使われています。黒豆や田作り、昆布などがその代表です。

 

 最後に、食べ物は自分の体をつくるものです。インスタント食品や加工食品のような化学物質が入ったものでよいのでしょうか?食材から作った本物の食事で自分の身体を作ってあげないと、いい子孫ができないのではと思ってしまいます。


昭和堂薬局 | 2017年11月27日

 

生理の時、気を付けてますか?

 月経は女性特有の生理現象です。女性は月経の時は何かと面倒なことが多いし、生理痛や頭痛など不快な症状も多く、養生なんてと思われるかもしれませんが、自分ではたまたまと思っていることが生理の時に起こっているのです。

 

 漢方相談をしていて感じることは、女性が風邪を引くのは生理中が多く、これは月経中は血室(子宮)が開いているので邪気が侵入しやすく、また月経によって出血すると同時に気も出ていくので体を守る力も落ちているため風邪を引きやすくなるのです。

 

 月経中は、月経による出血で体力が低下している時ですから、激しい運動をして体力を消耗したり、雨に濡れて体を冷やしたりすることは好ましくありません。寒邪や湿邪などを感受して、気血の流れが悪くなり月経痛がひどくなったり、月経不順になったりしますので、月経期間中は冷えないよう保温に注意をしましょう。

 

 また、仕事や勉強で夜更かしして睡眠時間を減らすこともあまりよくありません。睡眠中に陰血は補われるので十分な睡眠が必要です。基本的には女性は男性より1時間は多く寝た方がいいと言われています。

 

 食事も節度を持って、激辛の食べ物を過食すると熱を発生するかもしれませんし、逆に冷たい物を食べ過ぎると体が冷えてしまいます。忙しいから簡単にお菓子やインスタント食品で済ませるのも可能な限り減らすよう努力してみてはいかがでしょうか。

 

 月経期間中以外も何をしてもいいわけでもなく、男性であれ養生は大切なことなのですが、女性の月経期間中は特に注意をした方がいい時期です。気持ちが昂るようなことは避けて、睡眠を十分とり、養生をしてみてください。


昭和堂薬局 | 2017年11月2日

 

中医学的にみる性差 ~女性の中医学的特徴~

 人には、男性と女性の違いがあります。解剖学的にも、生理機能的にも違いがあります。中医学において男女を陰陽で分けると男性が陽、女性が陰となっています。
また、女性には月経、妊娠、出産、授乳があり血を消耗しやすいという特徴があります。これらのことから女性にとって血が重要な要素になります。

 

 異なった側面からの見方をすると、気持ちが塞ぎ込むことで、気が停滞し、血が滞るといろいろな病気になりやすくなります。女性はその傾向が顕著であり、これは肝は血を蔵すこと、肝は条達(のびのびとする様の事)を好む性質があること、情志と深く関わっており、血の不足が肝経におよび気血の伸びやかさが失われることにより衝任(前回コラムで説明)を損傷し月経、妊娠、出産に関係する病が発生してきます。

 

 婦人科疾患において五臓のうち、肝を調節することが重要です。肝は女性の先天であるという言い方もあり、これは肝が女性の発育と生殖に携わることを表します。また肝は乳頭部を管轄していることから、乳房部の疾患も肝経に関わっています。

 

 女性は肝や血とかかわりが深いことがご理解いただけたでしょうか。
そこで、今回は、女性のよくある症状であまり取り上げられない症状の一つである「月経前に乳房部が脹る(ひどいと痛む)」に注目してお話ししてみたいと思います。

 

 月経前の乳房部の脹りは、女性のよくある症状です。しかし、この症状を訴えて来店する方はほとんどいません。しかし、この症状は女性の心身の健康や妊娠・出産に影響する可能性のある症状です。実際、子宝の漢方相談に来られる方で、高プロラクチン血症がある方のほとんどは、月経前の胸の脹りがあります。その逆、胸の脹りがあると高プロラクチン血症というわけではないのですが…

 

 生理痛や生理前の胸の脹りなどはあって当たり前と思っている方が多いようですが、健康であれば無くてよい症状なのです。その時はつらいけど生理前後だけだから我慢することはあまりいいことではないかもしれません。もしかすると何か(病気)が隠れてるかもしれないですから…


昭和堂薬局 | 2017年10月16日

 

東洋医学的女性の生理

 前回お話ししたように、東洋医学における婦人科には長い歴史に培われた理論があります。
西洋医学的教育を受けてきた我々には理解しにくい点もあるのですが、2,000年前の書物に書かれてあることが今なお受け継がれ、理論として成立しています。

 

 下の文章が「黄帝内経」上古天真論に書かれた女性の生理です。
「女子は7歳になると腎気が盛んになり、歯が生え変わって髪が長くなる。14歳になると天癸が至り、任脈が通じ、太衝脈が盛んになり月経が下るようになる。そのため子どもをつくることができる。-中略― 49歳になると任脈が虚し、太衝脈が衰え、天癸が竭き、月経が停止する。そのため子どもをつくれなくなる。」

 

 14歳ごろ初潮が来て、49歳ごろ閉経するとありますが、現代もほとんど変わりません。食事や環境の変化はありますが、私達の体は2,000年前とほぼ変わっていないのです。

 

 以上のことから月経は、天癸(てんき)・臓腑・気血・経絡が協調して子宮に作用することにより生じる現象です。これら天癸・臓腑・気血・経絡の関係が崩れるとうまく月経が起きませんし、子供もできにくくなります。

 

 天癸とは、男女を問わず人体の成長・発育・生殖に影響する精の一種です。

 

 経絡は、情報伝達ルートとなり人体の各組織・器官を結び付けており、同時に気血の運行に関与して、全身を栄養します。その中で、女性と密接な関係があるのは奇形八脈の衝脈・任脈・督脈・帯脈であり、主にその生理機能は気血の運行に対して蓄積と溢出の調節を行うことです。その中で任・衝脈は婦人科疾患に特に重要であると言われています。衝脈の衝には要衝の意味があり、臓腑経絡の血すべてが帰り、十二経絡の要衝としての役割を果たしています。また、衝脈は経絡の海であることから「血海」と呼ばれ、月経は血によって機能するため、衝脈が盛んであれば月経は正常に行われます。任脈の任には任(妊)養、担任の意味があります。任脈は全身の陰脈を妊養するとともに、女性の妊娠機能に関与しています。

 

 少しわかりづらい東洋医学用語が多く出てきてしまいましたが、体は繋がっているため、各々の組織・器官が正常に働くことが重要ですが、特に天癸(精)が充分に満ちていて、妊衝脈が機能していることで、女性の月経・妊娠・出産のコントロールができるのです。


昭和堂薬局 | 2017年10月2日

 

婦人科と東洋医学 ~長い歴史に培われた漢方~

 古くから婦人科疾患には漢方薬がよく使われてきました。現代においても婦人科疾患は漢方薬の得意分野であることは変わっていません。これは東洋医学の歴史の中で古くから婦人科を専門科として設置し、その後長い歴史と経験を積み重ね、現在の日本や中国においても大きく貢献しています。

 

 3,000年以上前の紀元前17世紀、殷の時代の甲骨文卜辞には出産問題などが記載され、現存する古典著書「易経」に「婦孕不育」「婦三歳不孕(結婚後3年経っても妊娠しない)」などの記載があります。

 

 以前このコラムでも少し紹介していますが、2,000年以上前の最古の医学書と言われている「黄帝内経」には、女性の解剖・生理・診断などが記載されており、女性の成長・発育・老化(初潮や閉経など)のメカニズムが示されています。

 

 その後、張仲景という人の著書「金匱要略」では、月経病、妊娠病、産後病・雑病などを症候の描写や方剤治療について、現在も使用されている処方が30種類以上記載されています。2,000年近く前の処方が現在の多く使われていることは、その効果の裏付けではないでしょうか。

 

 女性には月経、妊娠、出産、哺乳といった女性特有の生理現象があります。「本草綱目」という書物には、「女性は陰の類であり、血を主とする。その血は上では太陰(月)に応じ、下では海潮に応じ、月に満ち欠け潮に満干があるように、月事も1月に1回あり、これに一致する。ゆえに月信・月水・月経という」と述べられています。

 

 「女性は血を主とし、血によって機能する。」また、「女科撮要」では、「経水は陰血であり、衝任二脈が主る。上がっては乳汁となり、下っては月水となる」と述べられており、月経の発生と調整は血の盛衰の影響を受けることを説明しています。これらのことから、女性は血の不足を起こしやすく、漢方的養生は補血が中心になります。

 

 以上のことからも、紀元前の昔から人間の体はそれほど変化していないのです。しかし、人間を取り巻く環境は激変しています。いろいろな面で便利になった現代ですが、便利になりすぎて体にとってはある意味、いい環境ではないのかもしれませんね。


昭和堂薬局 | 2017年9月13日


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