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トランス脂肪酸とは

 トランス脂肪酸は、トランス型の二重結合をもった不飽和脂肪酸です。天然の植物油などの不飽和脂肪酸は、シス型の二重結合をもった不飽和脂肪酸でトランス型は含まれません。例外的に、反芻動物(牛、山羊など)の肉や乳に2%くらい含まれます。これは反芻動物がもつ微生物により作られるものです。
 しかし、我々が摂取するトランス脂肪酸は、天然の植物油脂を固めるために水素を付加した時に生成されます。そのため、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどに多く含まれます。また植物油などを加熱することによってもできますので、長期間使用した植物油にも含まれています。
 トランス脂肪酸は構造上直鎖で、シス型脂肪酸は折れ曲がった構造をしています。このためトランス脂肪酸の代謝は、シス型の代謝と違う経路をとるのではないかと言われています。また、脂肪酸は体の中に吸収されるとリン脂質となり細胞膜をつくります。このため、細胞膜を構成する脂肪酸によって細胞の流動性や働きが変化すると言われおり、トランス脂肪酸は、虚血性心疾患や認知機能などに対するリスクが高くなることが言われています。アメリカの疫学調査では、トランス脂肪酸の摂取が多い人は炎症反応を示すCRPなどが高いことが示されました。この炎症状態を慢性炎症といい、慢性炎症は多くの病気の原因であることが最近解ってきました。生活習慣病や脳血管・心血管疾患、自己免疫疾患、アレルギー、がん、認知症などの疾患はこの慢性炎症が原因といわれています。これらのことから、トランス脂肪酸の摂取が多くの病気の原因のなる可能性を示しています。
 おそらく、今の日本の食生活を考えた場合、トランス脂肪酸を全く摂らない食生活は不可能だと思います。しかし、出来る限り減らす工夫は必要でしょう。またトランス脂肪酸摂取により慢性炎症を起こすのであれば、炎症を抑制するようにすることが必要です。炎症を抑制していくためには、ω3系の脂肪酸を摂っていくことです。亜麻仁油やシソ油、魚油のEPAやDHAなどがω3系不飽和脂肪酸です。亜麻仁油やシソ油はドレッシングや料理にかけるなど生で使います。EPAやDHAはサバなどの青背の魚に多く含まれています。しかし、亜麻仁油やシソ油などのαリノレン酸は吸収に個人差があるようです。また、小児の臨床試験でトランス脂肪酸の摂取によって、このαリノレン酸の代謝が阻害されEPAやDHAに変換しにくくなる可能性があることが解っています。慢性炎症が関わる病気の人などはEPAやDHAを積極的に摂る事をお勧めします。


昭和堂薬局 | 2014年5月26日


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