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東洋医学のよく言う“気”ってなに?!

 元気、気合い、気力、天気、空気など気という字がついている言葉はたくさんあります。
では「気」とはどんなものなのでしょうか?
昔から、目に見えない力やエネルギー(物理学的エネルギーや熱エネルギー)のことを「気」と表現していました。中医学でも「気」は非常に大切な概念です。

 

 「気」というエネルギーは体の中で、どんなことをしているのでしょうか?

 

 中医学でいう「気」の作用の一つが推動(すいどう)作用です。臓腑(内臓)を動かし、血や津液(体に必要な水)などモノを「動かす」力が推動作用です。
「気」が足りないと様々な「滞り」が起こってしまいます。気が不足すると血のめぐりが悪くなったり、臓腑がうまく働かなくなったりします。

 

 「気」の作用の二つ目は温煦(おんく)作用です。熱エネルギーや体温の事を指し、体を温める力が「気」にはあります。「気」が足りないと寒がりになります 。クーラーに弱い人も「気」が足りていない可能性があります。

 

 「気」の作用の三つ目は防衛作用です。体を守る力です。免疫力に近い概念です。「気」が足りない方は 、風邪をひきやすくなったりします。
気が張っていて風邪を引かなかった。気が緩んで風邪を引いた、などの表現を思い出していただければわかりやすいかと思います。

 

 「気」の作用の四つ目は固摂(こせつ )作用です。
漏れを防ぎ、元の位置(固有の位置)に留める作用です。私たちは重力の影響下で生活しているにもかかわらず、内臓が体外に落ちることなく生きています。
尿もれ、不正出血、胃下垂、子宮脱・脱肛などが「気」の不足によって起こることがあります。

 

 「気」の作用の五つ目は気化作用です。モノを変化させる作用です。食べたものを血液や筋肉などに変化させ、食べたものの糟粕を大便に変化させる作用の事を指します。
少し難しいのですが、例えば要らない水分を尿に変える時に「気」の力が必要と考えます。よって「気」が足りないとむくみや尿が少ないなどの症状が出ることもあります。

 

 「気」の作用の六つ目は営養作用です。体を滋養する作用です。疲れやすい、太れないという方は「気」が不足していると考えられます。

 

 以上のような働きの「気」ですが、これが不足してしまうということは、食べ物や呼吸により「気」をうまく作れなくなったり、必要以上に「気」を使ってしまって製造が追いつかないときに起こります。

 

 気の不足は、臓腑でいうと脾胃(胃腸)がうまく働かないことから起ることが多く、中医学において脾胃(胃腸)は“湿”を嫌う傾向があり、特に気温や湿度が高くなると胃腸に負担がかかるので注意が必要です。
まして中国のような大陸と違い、日本は島国で周囲を海に囲まれており、一年を通して湿度が高く、そこに暮らす私たちの脾胃に掛かる負担は同じ黄色人種の中華圏の方々よりもはるかに高いといえるでしょう。
日本の伝統的な食文化は素晴らしいものですが、生冷物(生もの)の過食は気の温煦(おんく)作用の低下を招きます。
食材だけではなく調理方法のバランスにも気をつけた食事を心がけ、脾胃(胃腸)を大切にし元気に初夏をお過ごしください。


昭和堂薬局 | 2018年5月23日


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