暦の上ではもう夏になるんです。
まだまだ、気温が安定していませんが、確実に夏が近づいてきています。
夏は陽の気、言い換えると太陽のエネルギーが最大のときであり、エネルギーももっとも強くなる季節です。「木・火・土・金・水」の五行のうち、「火」にあたるのが夏です。熱く、明るく、上へ上へと向かって広がり、燃えさかる「火」のイメージが夏なんです。
人体の中で、「火」を司っているのが、「心」です。東洋医薬学では「心は血脈を司り、神を蔵し、神志を主る」という働きがあります。
「心」は血液循環をコントロールしています。同時に、「神」の意味は人間の精神や意識、思考活動、いわば「こころ」をさします。私たちの精神活動のすべては「心」がコントロールしているのです。
夏の暑さが厳しくなり、陽の気が最大になると、この「心」の働きも亢進し、オーバーヒートしやすくなります。
私たちの体は、暑くなると汗を出して、体内の熱を逃がし、上手に体温を調節するようになっています。しかし、汗は同時に、血液中の水分とミネラル分も、一緒に排出してしまうため、血液の濃度は高くなり、ドロドロと流れにくい状態になります。汗をかけばかくほど体温は下がって涼しく感じられますが、一方で心臓は、流れにくい血液を全身に運ぶために、フル活動しているわけです。
「心」がオーバーヒートすると、胸が苦しくなり、脈が早く打つ頻脈になったり、不規則になる不整脈を起こしやすくなります。血液循環も悪くなり、動悸、息切れ、不眠、動脈硬化、ひいては心筋梗塞などの心疾患につながりかねません。
厳しい暑さの夏をうまく乗り切っていくために、養生って必要なんですよ。